コールセンター

コールセンターのKPI一覧~インバウンド・アウトバウンドの代表的なKPIと算出方法~

より良いコールセンター運営を目指すため、 目標達成につながるKPIを設定したい。しかし…

・KPIって何?
・管理する意味は?
・KPIの計算方法は?

などのお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、 KPIを一覧形式にてお伝えしています。計算方法や設定のポイントも解説しておりますので、コールセンター運用にお悩みの方は参考にしてみてください。

この記事の目次

コールセンターにおけるKPIとは?

KPI (Key Performance Indicator)とは
設定した目標を達成する上で、その実行度合や進捗を計測・評価するための指標のことです。
日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれています。

例えば、「顧客満足度を向上させる」 や「応対品質の向上させる」といった目標設定するとします。
では、その目標を達成するためには何をすればいいのでしょうか?

目標を達成するためには、現状の確認やどこに問題があるのかなどの課題を洗い出し改善していく必要があります。

そのために用いられるのがKPIと呼ばれる指標です。

指標を立て数値化・管理することにより進捗状況が可視化されます。
KPIは最終目標達成をするための重要な指標なのです。

代表的なKPI一覧

コールセンター業務には、インバウンド(受信)とアウトバウンド(発信)の2種類 があり、それぞれの代表的なKPIを紹介します。

インバウンド

K P I 項 目 概 要 計 算 方 法
応答率着信に対してオペレーターが実際に対応できた件数の割合対応件数÷着信件数×100
放棄呼率
(アバンダンコールレート)
オペレータに繋がる前に顧客が切断、またはシステム側にて切断した件数の割合放棄呼数÷着信件数×100
SL
(サービスレベル)
あらかじめ設定した時間内にオペレーターが対応できた件数の割合設定時間内の対応件数÷着信件数×100
ASA
(平均応答速度)
着信からオペレーターが応答するまでのシステム上で待った平均時間 応答までの時間の合計÷総着信件数×100
稼働率オペレーターの勤務時間のうち、実際に顧客対応業務にあたった時間の割合(通話時間+保留時間+後処理時間+受付可能時間)÷(給与時間)×100
AHT
(平均処理時間)
通話開始から後処理終了までの顧客の対応にかけた時間の平均値(総通話時間+総後処理時間)÷総処理件数
ATT
(平均通話時間)
オペレーターが顧客との通話にかけた時間の平均値総通話時間÷総処理件数
ACW
(平均後処理時間)
顧客との通話後の後処理にかかる時間の平均値後処理時間の合計÷対応件数
CPC1件あたりの電話応対にかかるコストコールセンターの総コスト÷処理件数(対応件数)
CS
(顧客満足度)
企業が提供する商品やサービスに対し、どのくらいの満足感を得られたかを数値化した指標顧客を対象としたアンケート調査を実施
NPS
(顧客推奨度)
企業やブランドに対する顧客の信頼度や愛着度を示す顧客ロイヤルティを測る指標(推進者−誹謗者)÷全体数
欠勤率オペレーターの予定されている勤務日数に対して、欠勤した日数の割合欠勤日数÷予定勤務日数
離職率在籍している労働者数に対する離職者の割合離職者数÷労働者数

アウトバウンド

K P I 項 目 概 要 計 算 方 法
コール数オペレーターが顧客に対し発信した件数発生件数をカウント
コンタクト率センターから発信した電話のうち、顧客に電話が繋がった件数の割合繋がった件数÷コール数
AHT
(平均処理時間)
1コールあたりの通話開始から後処理終了までの平均時間ATT(平均通話時間)+ACW(平均処理時間)
稼働率オペレーターの勤務時間内で顧客対応にかけられる時間の割合です(通話時間+保留時間+後処理時間+対応可能時間)÷(給与時間)×100
ミス発生率オペレーターが対応した全ての件数のうち誤案内となった件数の割合コールセンターごとにミスの定義や測定方法を決めて算出
CPC 1通話当たりにかかるコストを示す指標コールセンターの総コスト÷処理件数(対応件数)
ATT
(平均通話時間)
オペレーターが実際にお客様と対応していた平均時間総通話時間÷総処理件数
承諾率・成約率オペレーターが顧客に発信した件数のうち、承諾・成約に至った件数の割合承諾の件数÷コール数

KPI設定のポイント

KPIは数多く設定すればいいというものではなく、目標に紐づく指標を立てることが重要です。
数値化することにより、その数字を管理することに重点が行きがちです。
なんのためのKPIなのかを忘れないようにしましょう。

KPI一覧

応答率

応答率とは、着信に対してオペレーターが実際に対応できた件数の割合のことを指します。
応答率が低い場合は、着信件数に対しオペレーターの人数が足りておらず顧客の不満が溜まりやすい状態だと言えます。

算出方法 :対応件数÷着信件数×100

関連記事コールセンターにおける応答率とは?~計算方法と改善方法~

放棄呼率 (アバンダンコールレート)

放棄呼とは、オペレータに繋がる前に顧客が切断、またはシステム側にて切断したコールを指し「アバンダンコール」とも呼ばれます。
放棄呼率は、着信に対する放棄呼の割合のことになります。

算出方法:放棄呼数÷着信件数×100

関連記事コールセンターにおける放棄呼率を改善することのメリットとは?

サービスレベル (SL)

サービスレベルとは、あらかじめ設定した時間内にオペレーターが対応できた件数の割合のことです。
サービスレベルが低い場合、設定時間内で応答できていない件数が増えているということになります。

算出方法:設定時間内の対応件数÷着信件数×100

関連記事コールセンターにおけるサービスレベル(SL)とは?

平均応答速度 (ASA)

平均応答速度(ASA)は、着信からオペレーターが応答するまでのシステム上で待った平均時間です。
ASAが短ければ短いほど、顧客を待たせる時間が少ないといえます。

算出方法 :応答までの時間の合計÷総着信件数

関連記事コールセンターにおける平均応答速度(ASA)とは

話中率

話中率は、顧客が電話をかけたがつながらず、話し中となってしまった着信件数の割合です。話中率が高い場合、電話を受ける体制が不十分であるといえます。

算出方法:話中になった着信数÷総着信数

稼働率

稼働率は、オペレーターの勤務時間のうち、実際に顧客対応業務にあたった時間の割合です。業務時間に当たらない休憩時間など除いて計算する必要があります。稼働率が高ければ、オペレーターは効率的に顧客対応ができている状態だと言えます。 ただし、稼働率が高すぎる場合は、業務量に対してオペレーター人数が不足している状態を表し、業務負担に注意が必要です。

算出方法:(通話時間+保留時間+後処理時間+受付可能時間)÷(給与時間)×100

関連記事コールセンターにおける理想の稼働率とは?

占有率

占有率とは、オペレーターが業務時間のうち実際に顧客対応にあたっていた時間を計る指標です。稼働率と占有率は待機時間を入れるかどうかが相違点となります。

算出方法:(通話時間+保留時間+後処理時間)÷(通話時間+保留時間+後処理時間+受付可能時間)×100

関連記事コールセンターにおける占有率とは?適正値を保つ2つのコツ

平均処理時間 (AHT)

平均処理時間(AHT)は、通話開始から後処理終了までの顧客の対応にかけた時間の平均値です。

算出方法:(総通話時間+総後処理時間)÷総処理件数

算出方法:平均通話時間 (ATT)+平均後処理時間(ACW)
※ ATTとACWが分かっている場合

関連記事コールセンターの平均処理時間(AHT)を短縮する方法と注意点

平均通話時間 (ATT)

平均通話時間(ATT)は、オペレーターが顧客との通話にかけた時間の平均値です。

算出方法:総通話時間÷総処理件数

関連記事コールセンターにおける平均通話時間(ATT) 改善のメリットとは?

平均後処理時間 (ACW)

平均後処理時間(ACW)は、顧客との通話後の後処理にかかる時間の平均値です。マニュアルの改善や業務効率化によって削減が期待できる部分です。

算出方法:後処理時間の合計÷対応件数

関連記事コールセンターにおける平均後処理時間(ACW)短縮のメリットとは?

平均保留時間 (AWT)

平均保留時間 (AWT)は、顧客が電話を切断するまで、またはオペレーターが応答するまで顧客が待った1件当たりの保留時間の平均値です。AWTが長いほど顧客を待たせている時間が多いことになります。

算出方法:総保留時間÷総処理件数

Call Per Hour (CPH)

Call Per Hour (CPH)とは、1人のオペレーターが1時間に電話対応できる件数を指します。CPHの数値が大きければ大きいほど、効率良く運営されていると言えます。

算出方法:総処理件数÷総稼働時間

関連記事コールセンターにおけるCPH(Call Per Hour)を向上させる必要性と改善方法

コスト・パー・コール (CPC)

コスト・パー・コール(CPC)は、1件あたりの電話応対にかかるコストです。CPCは システム面の強化や業務フローを見直し処理時間の効率化を測るなどの対応で削減できる可能性があります。

算出方法:コールセンターの総コスト÷処理件数(対応件数)

関連記事コールセンターにおけるコスト・パー・コール(CPC)を低く抑える方法と注意点

一次解決率

一次解決率とは、顧客が問合せた全件数に対し、一度の問い合わせで問題解決した件数の割合です。
一次解決率を向上することにより、顧客の負担軽減と満足度向上につながります。

算出方法:一度のサポートで対応完了した件数÷全対応数×100

関連記事「一次解決率」は顧客満足度に繋がる

モニタリングスコア

モニタリングスコアとは、オペレーターの応対品質の平均点数のことです。
モニタリングスコアをつける際の目安となる項目数や配点は企業によって異なりますが 、電話対応に必要な業務遂行力、言葉遣いや提案力などを総合的に見ていくことが多いです。

算出方法:モニタリングシートを作成しオペレーターの応対品質を数値化して、平均点を算出する

関連記事応対品質を改善するには?コールセンターにおけるモニタリングの目的とポイント

ミス率

ミス率とは、コールセンター業務の対応・付随する業務に対し、ミスが生じてしまった割合を指します。

算出方法:コールセンターごとにミスの定義や測定方法を決めて算出

エスカレーション率

エスカレーション率は、オペレーターのみで顧客対応の解決ができず、責任者やリーダー等の上長に相談した件数や、他部署へ質問した率を測定する指標です。
保留して相談した回数も含むため、内部工数の発生率に着目しているところが特徴となります。

算出方法:相談した件数÷全対応数×100

関連記事エスカレーションの削減方法と定めておくべき対応ルール

保留発生率

保留発生率は、オペレーターが対応中に保留対応した件数の割合となります。
保留の時間は、生産品質の改善で注目されにくいという特徴があります。

算出方法:保留した回数÷全応答数×100

再入電発生率

再入電発生率は、一度対応を終えたが解決できず、同じお客様からの再度の着信が発生してしまったです。

算出方法:再入電した件数÷全応答数×100

顧客満足度 (CS)

顧客満足度(Customer Satisfaction)とは、企業が提供する商品やサービスに対し、どのくらいの満足感を得られたかを数値化した指標です。
顧客満足度が高いサービスほど、リピーターを獲得しやすくなります。

算出方法:顧客を対象としたアンケート調査を実施

関連記事: コールセンターのCS(顧客満足度)を向上させるポイントを解説

顧客推奨度 ( NPS®)

顧客推奨度(NPS®)は、企業やブランドに対する顧客の信頼度や愛着度を示す顧客ロイヤルティを測る指標です。

※Net Promoter Score®及びNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレデリック・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

算出方法:(推進者−誹謗者)÷全体数

関連記事顧客推奨度(NPS)の重要性と算出方法

欠勤率

欠勤率は、オペレーターの予定されている勤務日数に対して、欠勤した日数の割合を指します。欠勤率が悪化する理由として、身体的・心理的な要因があると考えられます。職場環境の悪さや長時間労働の蔓延、人間関係や業務に対するストレスなどが原因としてあげられ、欠勤率が高いほど、ほかのオペレーターの負担が増加し離職率の増加につながると考えられます。

算出方法:欠勤日数÷予定勤務日数

関連記事欠勤率を改善させるには?欠勤率の計算方法と改善の対策

離職率

離職率は、在籍している労働者数に対する離職者の割合を指します。コールセンターの離職率は業界全体で高く人手不足の傾向にあります。

算出方法:離職者数÷労働者数

関連記事コールセンターにおける離職率の高さの原因と改善方法

クレーム発生率

クレーム発生率とは、全応答数から顧客からの苦情が発生した件数の割合を指します。

算出方法:苦情件数÷全応答件数

Thanks Call発生件数

ThaksCall発生件数とは、全応答数から御礼や感謝の電話、メール、手紙などを頂いた件数です。

算出方法:ユニークの件数を手動でカウント

コール数

コール数とは、オペレーターが顧客に対し発信した件数です。架電数とも呼ばれます。

算出方法:発生件数をカウント

コンタクト率

コンタクト率とは、センターから発信した電話のうち、顧客に電話が繋がった件数の割合を指します。

算出方法:繋がった件数÷コール数

承諾率・成約率

オペレーターが顧客に発信した件数のうち、承諾・成約に至った件数の割合のことです。承諾率や成約率と呼ばれます。

算出方法:承諾の件数÷コール数

まとめ

コールセンターにおける代表的なKPIを記載しました。

KPIは最終目標達成をするための重要な指標です。 目標を達成するためには、現状の確認やどこに問題があるのかなどの課題を洗い出し改善していく必要があります。しかし 数多く設定すればいいというものではなく、目標に紐づく指標を立てましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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コールセンターの効率化を検討する際の参考として、ぜひご活用ください。

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