チャットボット導入で成功するために重要なこと

最終更新日:2019年2月8日
このブログはAIを活用したチャットボット『sAI Chat』を提供する、株式会社サイシードが作成しています。
最新の事例や企業での活用方法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

代表 中村
こんにちは、サイシード代表の中村です。
弊社はカスタマーサポート・コールセンターの総合改善に2年以上取り組んでおり自社での数十件の実績、他社事例を含めると優に100件を超えるチャットボット導入事例を見、研究して参りました。
そこで今回はチャットボット導入で弊社が扱っている事例の中で特に成功した事例を挙げ、何故それが成功したのかを説明致します。同時に多くのクライアントと接すると、以前チャットボット導入で失敗したという方々とも多くお話します。それらの失敗事例が何故発生してしまったのか、という見解についても説明致します。

チャットボットは人工知能ではない!

チャットボット=人工知能という誤解が市場にはあるかと思いますがチャットボットの定義はインターフェースを示したものです。必ずしも人工知能(学習系アルゴリズム)を搭載しているわけではありません。
さらに言えば学習系アルゴリズムも2つに分けて考える必要があります。

運用したデータを自動学習するものとしないものです。

自動学習というのは実際にはかなり難しいものです。
人工知能搭載のチャットボットというと問い合わせデータを自動的に学習し、精度を向上させるという誤解がありますが実務上これは困難です。学習をさせるには大量のデータが必要となりますがコールセンターで一つの問い合わせに対する問い合わせパターンデータは一般的に極めて限定的な数しか存在しません(月間数十~)。
これを自動学習させようとすると返って精度が落ちてしまうという現象が発生します。

そこで一般的には敢えて自動学習をさせないアプローチが多数派です。このチャットボットでは学習アルゴリズムは自然言語の認識のために使われます。ただしもちろん運用で発生するデータからの改善が必要なため、完全自動学習させるよりも人間が一定割合関与し調整するアプローチが最も低コストかつ迅速に精度向上をさせることが可能です。
完全自動学習に夢を持たないようにしましょう。

参考事例:汎用言語表現モデルBERTを日本語で動かす(PyTorch)

チャットボット導入に挑戦すべき理由と成功するための条件

チャットボット導入に挑戦すべき理由

チャットボットで出来る範囲は限定的という話しを挙げましたがカスタマーサポート・コールセンター機能をもっている会社であれば私は必ずチャットボット導入に挑戦してみるべきと思います。それは導入が成功すると入電数70%削減のように極めて高い効果を発揮するからです。
他社がチャットボット導入に成功して自社だけ成功していないとユーザーからもカスタマーサポートの質が悪いとして見放されてしまうきっかけとなってしまう可能性すらあります。
また完全自動のチャットボットとならない場合でもオペレーターが裏側にいるチャットサポートの導入というように現実的な方法に切り替えることも可能です。

チャットボット導入で成功するための条件

代表 中村
チャットボットは万能の知能では決してありません。チャットボットが出来ることの限界を理解しながら自社にとって導入価値のある用途を見つけることが最大のポイントとなります。

チャットボット導入で成功するための条件は、ひとことで言えばチャットボットの限界を認識することです。
チャットボットはチャットインタフェース上で会話するように全自動で問い合わせに対応する技術です。これを見て人間が出来るような内容を代替可能と判断するのは早計です。実際に出来る内容は極めて単純な用途に限られます。
文脈を読み取った対応や状況に応じた個別対応が必要な内容については極めて低い解決率となってしまう結果が多いのが現状です。
チャットボットは決して人間の代替ではないと認識し、対象となるユーザーおよび用途を絞りこみ、チャットボットで対応可能な使い方を設計することが最重要です。

チャットボット導入が成功する3つの用途

代表 中村
チャットボットが成功する用途として、私がいつもお話ししている事例が3点あります。

アプリの代替品

例えばヤマト運輸のLINE活用事例が成功事例として挙げられるケースが多いです。これはチャットボットをアプリの代替品として扱い成功したと考えるとよいでしょう。
企業がオリジナルのアプリを開発し、ユーザーに日常的に使ってもらうことは非常に高いハードルがあります。ユーザーにとっても頻繁に使うものではないアプリに新規登録し、扱い方を覚えるというのは大きなストレスです。
それならば使い慣れているLINE上で機能を実装してしまえばアプリ開発よりも格段に安いコストで開発することが出来、ユーザーにとっても使い慣れているインタフェースで使うことが出来るため双方に大きなメリットがあります。
LINE上で実装出来る機能は既存DBとの連動、位置情報の送信、画像の送受信など拡大が続いております。今後は決済も実装されさらにアプリと遜色のない機能を実装出来るようになるでしょう。
弊社ではクライアント企業に対して従業員の労務管理用にチャットボットを用い、我々が想定した以上の成功を収めることが出来ました。
クライアント企業は60歳以上の従業員が40%を超えておりIT化の推進が難しいという企業でしたがスマホを使っている従業員の方々はLINEは使い慣れており導入研修などがなくてもスムーズな導入と活用となりました。
今後もこういった用途でのLINE・チャットインターフェース活用は進んでいくと考えられます。

単純な問い合わせ対応

弊社が提供しているチャットボットで問い合わせ対応用に大きな成果を発揮しているのが例えば単品ECの問い合わせ対応などの単純な問い合わせ対応です。
これを今まではコールセンターで対応していたのですが、問い合わせのジャンルが解約・返品・配送状況の確認、と一部用途に絞られておりました。これをチャットボット化することで即入電を70%削減することに成功しました。
比較的単純な用途での問い合わせ対応効率化についてはすぐにでもチャットボット導入を検討するべきかと思います。

雑談用ボット

マイクロソフトが運用する女子高生LINEチャットボットアカウント「りんな」には2019年1月時点で7百万人以上の友達数があります。我々も実際に複数の雑談用ボットや雑談機能が搭載されたボットを運用して気づいたのは想像以上に使われるということです。
通常のWEBサイトなどでは考えられない程高いエンゲージメントを実は雑談ボットは持っているのです。
これをビジネスに活用するのであればマーケティングやカスタマーサポートという機能を持ったボットに雑談機能を持たせることでユーザーエンゲージメントを向上させる用途が有効です。

チャットボットを導入して成功させるために考えるべきポイント

ユーザーのメリットがあるか否か

ユーザーにとって不便なチャットボットは社内向けであれ、社外向けであれすぐに使われなくなる運命にあります。導入することでユーザーが従来の電話やメールよりも良いと感じてもらう必要があります。
チャットボットが従来のコミュニケーションチャネルよりも優位に立てるポイントとしては

  1. レスポンス速度
  2. インターフェース

の2点があります。
レスポンス速度については言うまでもなく、待ち時間ゼロで利用することが出来ます。
待たされ、通話料も払わなければならない電話と比較しこれは大きなメリットとなります。
また最近は電話というものに使い慣れていない、好まないユーザーも多く存在します。私自身もまさにこの一人です。
静かな場所で一定の時間を確保して話す必要がある電話というのは大変面倒なのでなるべくならばしたくないものです。
チャットボットが十分に活用出来るものであり、電話と比較されるなら私であれば迷わずチャットボットを使いたいと思います。

コストカットへ明確な意思を持っているか

チャットボットを導入するだけだと実は問い合わせ数は増加します。これは電話をすることに躊躇していたユーザーがチャットボットならば問い合わせるという効果が出るからです。
確かにチャットボット導入により一部入電数を削減するという効果は出ますが、チャットボット導入の工数や費用を考えると機能していたとしてもコスト削減効果があるか否かは微妙な部分となります。
弊社が多数の事例の中で気づいたコスト削減のポイントは責任者がコスト削減に明確な意思を持つこと。

つまり入電数が減ったらオペレーターを削減するのではなく半年以内にオペレーター数半分という目標などを掲げコミットする必要があります。これを実現するには電話もチャットボットもあります、という見せ方ではなくチャットボットをまず優先して案内する、仕方ない場合は電話、というようにユーザー動線を変更する必要があります。

これをすることで「電話を使い慣れているユーザーはやはりまず電話したいのではないか」という議論が生まれるのは当然です。ただその一部ユーザーが電話したい、という点を優先させているといつまで経ってもコスト削減は出来ないままとなってしまいます。コスト削減を実施するには明確な意思が必要となります。

チャットボット導入に決定的に重要な導線設計をする

チャットボットが失敗する事例としてよく見るのが「そもそもユーザーが気付く場所にチャットボットがない」ということです。例えば箱に記載されている問い合わせ案内にはチャットボットのQR コードを印刷する。
「製品名 問い合わせ」と検索された際にはまずチャットボットを案内する。
サポートサイトにもまずチャットボットを表示するというように問い合わせをしようとするユーザーがまずチャットボットに接触する導線を設計することは言うまでもなく重要です。

チャットボットを導入して失敗する企業の特徴

チャットボットが失敗に終わるケースは先程の成功するポイントで挙げたことと逆となります。
つまり

  • 用途およびユーザーが絞られておらず「なんでも出来ます」と見えてしまう、扱う内容が複雑過ぎる
  • ユーザーがチャットボットに至る導線設計が整備出来ていない
  • コストカットへのコミットメントがない
  • チャットボットの導入自体が目標になっており具体的に達成したい目的が曖昧

こういったケースとなります。

自社がこのケースに当てはまっていないか確認しましょう。

チャットボットを選ぶ際に見るべきポイント

ニーズに合ったものを選ぶことが重要です。
自社にどのようなチャットボットが必要なのか把握するためにまず以下の項目を明確にして下さい。

  • 問い合わせパターンはどの程度あるか
  • 上位問い合わせパターンにどの程度問い合わせは集中しているのか(問い合わせ内容分散度合い)
  • 他のデータを参照しなければならない問い合わせが多いか
  • 自然言語処理を用いた高度な検索機能が必要なのか、シンプルなシナリオ型でよいのか
  • カスタマーサポートを総合的に改善したいのか、WEB上のエンゲージメントを上げたいのか

詳細な製品紹介は他の記事で行おうと思いますが上の項目を明確にすることで以下の項目が判断出来ます。

  • 問い合わせパターンが50以上→中価格帯以上の製品が適している
  • 上位問い合わせパターンへの集中度合い→上位30%の問い合わせパターンが自動化されるとどの程度のコスト削減が可能か判断可能。チャットボットの費用対効果を大枠算出出来る。
  • 他のデータを参照しなければならない問い合わせが多い→APIなどデータ連動性を備えているツールが必要、社内のツールがどのようにデータ連動が出来るかも合わせて確認が必要
  • 高度な自然言語処理(AI型)の機能が必要か否か→問い合わせパターンが50を超えシナリオ型で対応出来なくなると必要
  • カスタマーサポートを総合的に改善したい→コールセンターも合わせて支援可能な会社が望ましい。

ちなみにサイシードでは

  • AI型アルゴリズム
  • 分析機能
  • コールセンターとも連動した改善
  • FAQツールの提供
  • 他のツールとも連動可能

という特徴があるsAI-Chatを提供しています。同じ機能を提供するものは高価格帯である場合が多いですが、これを中価格帯で提供出来ていることが特徴です。

整理されたデータがなくてもチャットボット導入は可能なのか

私が接している顧客で整理されたデータがあるとおっしゃるクライアントは5%未満です。
多くの場合はマニュアルが散在し、一部は担当者の頭の中や過去の対応履歴にしかないというのが通常です。マニュアルが全く無いという場合すら珍しくありません。

その際には社内でデータを整備するか、データ整備をアウトソースするかという選択肢になります。
散在したデータをAIに入力すれば自動的に美しいデータとなる、とはなりません。

私が推奨するのはデータ整備業務を特定のエンジン向けに整備しなれている会社にアウトソースする方法です。
そもそも社内で部署横断的に動ける柔軟なりソースを確保することが難しいですし、各エンジンは癖があるため、導入するエンジン向けにデータを整備した経験が豊富に必要です。
結果的に社内で無理に行うより外部に委託したほうが迅速・高精度・安価に仕上がります。
上の理由からサイシードではデータの整備から導入、運用まで一気通貫したサポートを行っております。

代表 中村
チャットボット導入はカスタマーサポート改善のための1施策でしかありません。

チャットボットに関する問い合わせは多くの法人からいただきます。
しかし、丁寧にヒアリングをしてみるとFAQツールが適している場合であったり、成功確率が極めて低いものも多く存在します。
チャットボット導入はカスタマーサポート改善施策の1施策でしかないと考え他にFAQツールなどのソリューションを検討してみてはいかがでしょうか。

価格帯により機能が大きく異なるチャットボット

一口にチャットボットと言っても価格帯に分け、3つのタイプに分けて認識するとよいでしょう。
低・中・高価格に分けてそれぞれの特徴を説明します。もちろん会社毎に機能は分かれているためあくまで相場観の目安です。
チャットボット導入ということで、低価格系を検討していたものの実際に期待する機能としては高価格だったという事例が多いため目安を説明します。

  • 低価格(月額2~10万円)
  • 自然言語認識機能はなし、シナリオベースでユーザーが選択肢をタップし進んでいくものが多いです。極めて単純なパターンはこれで成功するケースもあります。ただ選択肢が多くなって来ると1つの回答に到達するために5回タップするなど返って面倒な操作となるため本当に単純な用途向けにおすすめです。
    管理画面には初歩的な分析が出来る画面はありますが、コールセンターに必要な機能は十分に備えてないケースが多いですね。本格的なコールセンターというより兼任の問い合わせ担当が少数対応しているようなWEBサイトなどが主な用途です。

  • 中価格(月額10~25万円)
  • 自然言語処理技術を搭載し、曖昧な会話内容も認識するチャットボットがこの価格帯では登場します。回答のパターンが50以上になってくるとほぼ必須と言えます。
    曖昧性の理解とは「PCの電源がつかない」「パソコン起動しない」などの実際は同じ意味であることを理解し、検索出来る機能です。これがない場合は完全一致の検索となりユーザーが欲しい回答にたどり着く割合は極端に下がります。

  • 高価格(月額25万円以上)

顧客情報や契約情報など、他のシステムと連動や他システムへの組み込みが可能となります。ここはカスタマイズのための初期費用が発生する場合も多く個別となりますね。
大手企業であり、個別機能のニーズが高い場合は安価なものではなく高価格のチャットボットがおすすめです。

チャットボットは将来

現在は活用が限定的な範囲のチャットボットですが、今後はどのように変化するでしょうか。
ここではいくつかの方向性を予測してみます。

  • 精度の向上
  • まず自然言語の認識能力が向上するでしょう。これは多くの人が予測する通り、間違いのない方向性です。

  • アクションの多様化
  • 現在はテキストで投げかけられたものにテキストで返すというチャットボットが主です。
    しかしこれは例えば音声・動画で返してもよいものですし、WEBサイトと連動し自動的にフォームが入力されるなどアクションが多様化することが考えられます。

  • チャットボットに端を発するチャットサポートの普及
  • チャットボット(全自動)導入を検討したがやはり全自動は困難であった、という法人が増加しております。
    そこで現実的な着地点として全自動ではなく、チャットインタフェースを使いながらくオペレーターが裏側で対応する「チャットサポート」の普及が進むと考えられます。
    チャット対応チームの構築という課題はあるものの、電話による問い合わせというのがスマホ中心の生活とフィットしないため代替案を求める方向性には動いていくでしょう。
    また、RPAと統合することによって例えば「住所を変更した」と言われたら「確認のため書類を郵送します」ところまで自動で出来るようになります。自動で対応出来る幅が大きく拡張するでしょう。

  • デバイスの拡張
  • 現在チャットボットというとテキストで入力しテキストで返すものとなっております。
    似た仕組みを考えてみるとスマートスピーカーも音声を音声認識によりテキストに変換し、そのテキストに対する返答を音声合成エンジンにより読み上げるという仕組みです。
    問い合わせに対して返答を返すという点では同じ仕組みです。
    現在スマートスピーカーは限られたブランドしかありませんが、音声認識・音声合成エンジンさえあればチャットボット系の企業が作れることを意味します。
    スマートスピーカーに限らずカーナビなど様々なデバイスに自動対話の仕組みが広がることとなると思います。

  • 感情的な会話活用
  • 機能が特に無い「りんな」のようなアカウントには大量のユーザーがおり、実は皆さんが想定する以上ユーザーは自動会話を楽しんでいます。
    弊社でもりんなのようなエンタテイメントアカウントを提供しておりますが、その活用率には驚きました。
    未婚化、長寿命化が進み間違いなく「孤独」は増えていくと思います。
    そのときに常に楽しい話し相手がいる人ばかりではないでしょう。そこに自動対話エンジンが食い込む余地は大きいと思います。
    病院での孤独な入院生活、独居高齢者、若手でも自動対話に抵抗がない方々などの対話相手としての活躍が想定されます。
    現在この感情的な会話は大きなビジネスになっているとは言い難いですが、感情的エンジンを搭載したFAQ用チャットボットやマーケティング用チャットボットはユーザーとのエンゲージメントが高いという明確な結果があります。単体としての機能ではなく一部機能として組み込むことで用途を広げていくでしょう。

代表 中村
弊社、サイシードでは上のトレンドをめがけた研究開発を進めております。中には実験段階のものもありますが、実証実験としてクライアントと共同でリスクを負って行っているプロジェクトも実は多く存在します。
1つ1つの結果を見ることで先進的ながら、現実的に活用可能な点を探ることが出来ます。

まとめ

代表 中村
長文になりましたがいかがでしたでしょうか。チャットボット導入を成功させるために重要なことが伝わりましたでしょうか。
サイシードでは「中価格帯で一気通貫した支援」、「先端技術活用による独自技術・高度技術提供」という特徴を持っております。まだ明確でないながらも今後のカスタマーサポートについて検討をしていきたいという方は是非お問い合わせいただければと思います。

現在チャットボットの導入を検討している場合は、ぜひ弊社も比較の候補に加えていただければと思います。
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ABOUTこの記事をかいた人

中村 陽二

東京大学工学部および同大学院工学系研究科修了。 マッキンゼー&カンパニーでM&Aや製造業での成長戦略のコンサルティングを経験し、2015年株式会社サイシードを創業。 趣味はモデルルームの内見。インドのことわざに造詣が深い。