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コールセンター向け音声認識システム導入の効果とは?活用事例と比較のコツ

最終更新日:2024年11月27日

コールセンター業務を効率化したい、人手不足を何とかしたいという悩みを抱えてませんか?

実は、この悩みを抱えるコールセンターはとても多く、課題に対応すべく、すでに多くの企業が音声認識システムをコールセンターに導入しています。

音声認識システムとは、音声データをテキストに変換するシステムのことで、テキスト化されたデータを活用し通話内容のチェックやスムーズな対応を可能とします。またそのデータを集計・分析することで、コールセンターにおける様々な業務を効率化を図ることができます。

そのため、コールセンターへの音声認識システムは多くのメリットがあると言えます。

しかし、やみくもに音声認識システムを導入すればいいわけではありません。
この記事では

  • コールセンター向け音声認識システムとは?
  • 音声認識で得られる4つのメリット
  • 音声認識システムを選定する際のコツ
  • 音声認識システムを上手に活用するコツ
  • 音声認識システム活用事例

について解説していきます。
音声システム導入に悩んでいる方、導入したがあまりいい効果が得られないと悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

この記事の目次

コールセンター向け音声認識システムとは?

コールセンター向けの音声認識システムとは、人間の声をコンピューターに認識させ、自動で文字起こしし、テキスト化するシステムのことを指します。
顧客との会話をテキスト化し、それを有効に使うことでコールセンターの様々な業務を効率化することができます。

音声認識システムの主な利用目的は、以下の2つに分けられます。

  • 業務効率化や改善を目的としたオペレーターの支援
  • オペレーターを介さず、音声認識システムのみで対応完結させることを目的としたコールセンターの自動化

現在、多くのコールセンターが導入しているは、オペレータの支援を目的とした音声認識システムになります。

しかし、「そもそも通話を録音してよいのか?」と疑問をお持ちではないですか?

現在、通話録音そのものを規制する法律は存在しません。しかし、通話の冒頭で「この通話は録音されています」とガイダンスを流したり、HP上に「通話は録音されます」と公表することがマナーとされています。また録音したデータは法律とガイドライン双方で速やかな開示義務があると規定されています。録音した音声は、いつでも開示要求に応じられるように保存し、厳重に管理する必要があります。しかし、通話音声データを保存できる期間は、システムによって異なるため、事前に確認するようにしましょう。

では、音声認識システムを導入することで、具体的にどのような効果が得られるのでしょうか?

音声認識で得られる4つのメリット

音声認識システムにより、顧客との通話をテキスト化することにで多くのものが見えてきます。業務の効率化だけではなく、VOCの収集や コンプライアンス強化などといった課題に対するソリューションとして、音声認識システムは今、大きな注目を集めています。

では、得られるメリットとは具体的に何なのでしょうか?大きく4つに分けて紹介します。

1.業務効率化

通話内容が確認できる (音声テキスト化)

通話内容を確認する方法として多くとられてきた方法は、通話記録を聞くことでした。しかし、この方法は多くの時間を必要としており、負担が大きいものでした。しかし音声認識システムを導入することで通話内容が自動でテキスト化することができるようになります。そのため、通話内容の確認をよりスムーズに行うことができ、複数の通話内容を同時にモニタリングできるようになります。
通話のポイントを絞って確認することもできるため、業務の効率化へと大きくつながります。

平均後処理時間(ACW)が改善できる

平均後処理時間(ACW)とは、顧客との通話後の後処理にかかる時間の平均値を示したものです。

ほとんどのコールセンターにおいてオペレーターは、通話だけではなく

  • 顧客の依頼内容
  • 顧客の意見や要望
  • 対応記録

を専用のシステムに入力しています。そのため、通話内容によっては時間がかかってしまうことも少なくありません。

しかし音声をテキスト化することで、こうした入力にかかる作業を大幅に削減することができ、 オペレーターの業務負担を減らし、平均後処理時間(ACW) の短縮へとつなげることができます。つまり、より多くの問い合わせに対応できるようになるため、運営コスト削減や顧客満足度の向上することができるようになります。また、音声がテキスト化されているため、通話内容の入力漏れなどを防ぐことも出来るのが大きなメリットといえます。

平均後処理時間(ACW)について詳しく知りたい方はコチラ

▼関連記事:コールセンターにおける平均後処理時間(ACW)短縮のメリットと注意点

オペレーターの教育に活かせる

音声をテキスト化することで、優秀なオペレーターがどのような対応をしているのかをほかのオペレーターにお手本として共有することができます。

オペレーターの教育のための資料作りなどにも活用できるため、教育者側の負担もぐっと減ります。また、実際に対応したものがテキスト化されているため、新人教育の場などで分かりやすく、かつイメージしやすい教材としても使用でき、客観的な分析に基づいたトレーニングを行うこともできるため、オペレーターの教育やレベルアップに活かすことができます。

丁寧な教育は、オペレーターの自信にもつながります。オペレーターの精神的負担を減らし、働きやすい環境づくりをすることで、離職率を下げることにも繋げることが可能です。

▼関連記事:コールセンターにおける離職率の高さの原因とは?離職率が高いデメリットと改善方法

FAQやマニュアルの改善ができる

テキスト化された内容を分析することで、対応方法などの問題点が浮き上がってきます。これをFAQやマニュアル、トークスクリプトの作成や改善に活かすことでオペレーターがスムーズに対応することができ、業務の効率へとつながります。

マニュアルはあるがうまく機能していない、情報が古いなどお悩みの方は大木野ではないでしょうか?

マニュアルは作成しただけではなく、定期的にメンテナンスする必要があるため、マニュアル更新自体にも時間を取られてしまいがちですが、浮かび上がった問題点を盛り込むことで、マニュアルの更新負担が減ります。マニュアルが更新されることでオペレーターの業務の改善に繋ぐことができるため大きなメリットを生み出します。

またそれらをもとにFAQをアップデートすることで、顧客の自己解決率の改善に繋がります。つまり、問い合わせの件数自体を削減することができるようになります。

そのため「コールセンターに電話してもつながらない」などのクレームを減らすことができるようになるため、顧客にとっても企業にとっても、とても良い環境を作り出すことができるようになります。

クレーム対応については、次で詳しく説明いたします。

2.応対品質管理

クレーム対応を効率化できる

コールセンターの重要な業務の1つにクレームの対応があげられます。緊急性が高く重要な業務と言えます。
多くの顧客はスムーズかつ早急な解決を求めている場合がほとんどです。そのため、対応が遅れたり内容をきちんと把握できなかったりすると顧客に強いストレスを与えてしまいます。それは顧客だけではなくオペレーターへのストレスにもなってしまいます。

音声認識システムは、声色や発声スピードなどからオペレーターや顧客の感情を分析し、すぐさまアラートをかけることができるものがあります。
また、リアルタイムでテキスト化するサービスを利用することで、内容を把握しやすくなります。顧客が何を求めているかをポイントやキーワードで FAQ検索をすることで、スムーズに対応することが可能になります。

顧客のストレスは顧客満足度の低下につながり、オペレーターのストレスは離職率へとつながってしまいます。クレーム対応を効率化するということは、顧客だけではなく、オペレーターにも寄り添うことができると言えます。

オペレータの言葉遣いを矯正しやすくなる

コールセンターにおいて「言葉遣い」はとても大切です。正しい言葉遣いは、顧客が気持ちよく通話する環境を整え、 わかりやすく、かつ効率良く商品やサービスの説明を進めることができます。

しかし、新人オペレーターなど業務に不慣れな状態だと、誤った敬語で対応してしまいがちです。また、普段何気なく使う言葉でも他人が聞くと不快に感じてしまう場合があり注意が必要です。

音声認識システムでは、誤った敬語を使った場合は、矯正用のポップアップを提示することが可能です。オペレーターの通話中に都度表示することで、習慣化を促すことができます。

聞き漏れや聞き直しが削減できる

通話の内容はリアルタイムでテキスト化することができるため、聞き漏れや聞き直しを減らすことができます。そのため、FAQなどでの対応がスムーズになり、保留や折り返しを低減させることにもつながります。

これは顧客にとっても大きなメリットで、ストレスなくスムーズな会話をすることができます。

3.経営貢献

VOCの蓄積・分析ができる

VOCとは「Voice of Customer」の略でコールセンターに寄せられる意見やアンケート結果、SNS・ブログでの評判などを総称したもので 「顧客からの声」を意味します。
VOCを収集・分析することは、商品やサービスを改善へとつながり、さらに顧客満足度の向上、企業の発展へとつながります。

VOCの収集は、通話履歴などのデータを入力・収集・集計する時間や手間がかかるため、コールセンターの課題としてあげられていました。
しかし音声認識システムは、通話内容をテキストのデーターベースとして保有できるため、さまざまな解析やキーワードでの検索が可能になります。
これにより顧客から寄せられた声をサービスや企画、応対の改善に活かすことができます。

オペレーターの離職防止につながる

音声認識システムは、実はコールセンターにおける重要課題の一つである離職の防止につながります。クレームの効率化でも少し書きましたが、オペレーターのストレスが減らすことは、離職の防止へとつながります。

音声認識システムで収集したデータは、マニュアルやトークスクリプトの改善に活かし業務効率の改善につなげることができ、オペレーターの業務負担を減らすことが可能です。
また、オペレーターの通話内容をテキスト化してモニタリングできるため、わかりやすく評価や改善点などをフィードバックできます。これによりオペレーターのレベルアップやモチベーションのアップにつながり、離職率の低下へと導きます。

▼関連記事:コールセンターにおける離職率の高さの原因とは?離職率が高いデメリットと改善方法

4.リスク管理

コンプライアンスの強化ができる

オペレーターが対応する中で、 NGワードを使っていないかなどをチェックするには、録音した音声を聞く必要がありました 。しかし、音声認識システムを利用することによりテキスト化された会話からNGワードなど含む内容のみを確認することができるようになります。リアルタイムで会話をテキスト化するサービスを使うことで、その場でフォローに入り対応することもでき、コンプライアンスの強化が可能になります。

顧客のクレームを未然に防止できる

音声認識システムでクレーム対応を効率化できることは先述しましたが、実は、クレーム自体を未然に防止することも可能になります。

通常、管理者がモニタリングする際は、1人のオペレーターのみでした。しかし音声認識システムを利用した場合、通話がテキスト化されるため一度に複数のモニタリングが可能になります。また、特定のワードでアラートをあげることもできるため、すぐに管理者がフォローに入ることができ、クレームが発生する前に防止することができます。特に新人オペレーターなどのフォローに入りやすくなり、オペレーターの働きやすさにもつながります。

音声認識システムを選定する際のコツ

ここまで音声認識システムを導入した際に得られるメリットを紹介しました。では、実際には数あるサービスの中から何を選んだらよいのでしょうか?

音声認識システムを選定する際のコツを紹介します。

チューニング方法を確認する

チューニングとは、音声認識エンジンが学習を行うことで、テキスト化の精度を高めていく機能のことです。音声認識システムは認識精度を下げないために継続的にチューニングメンテナンスが必要になります。

ここで注目したいのが、チューニングの方法です。代表的なものは

  • ベンダー側で行う
  • ディープラーニング技術を実装しているものを選ぶ
  • データを読み込ませてチューニングを行う

があげられます。
一般的には、ベンダー側でチューニングを行うことが多いですが、もちろん費用が発生します。 メンテナンスにかかる費用は導入する前に確認するようにしましょう。

ディープラーニングが実装されているシステム、つまり学習すればするほど認識の精度が向上するシステムを選べば、手間や工数をかけずにチューニングできますが、ディープラーニングが実装されているサービスは高額なものが多いため、自社の予算と相談してみてください。

最後にデータを読み込ませてチューニングを行う方法ですが、こちらは手間がかかります。

チューニングにどれだけの工数とコストをかけられるかを導入前に確認、検討することが大事です。

データ分析の支援の有無を確認する

テキスト化し蓄積されたデータは、どのように活用したらいいのでしょうか?

何から手を付けていいか悩んでしまいますよね。大量のデータを蓄積できても、そのデータを活用できなければ意味がありません。

そこで、音声認識システムを選ぶポイントとして「どのように分析・活用するか」をサポートしてくれるサービスかを確認することをお勧めします。このようなサポートを利用することにより、データをより効果的に活用することができます。

2つのコツを紹介しましたが、システムの選定の際に一番大事なコツは、実際に使う担当者にとっての使い勝手の良さを考慮することです。活用する現場で使いやすいものを選ぶことが、企業にとってのメリットになります。

音声認識システムを上手に活用するコツ

音声認識システムのメリッばかりを紹介しましたが、もちろんいい面だけではありません。音声認識システムを運用するには、問題点と対応策を把握しなくてはいけません。

ここでは、現段階での音声認識システムが抱える課題と対策を紹介します。

人間レベルでの認識精度ではない

音声認識システムが抱える課題として、まずあげられるのが「認識率」になります。認識率とは、通話の内容と音声認識の結果を比較して出す数値を指します。認識率は定期的なチューニングメンテナンスを行う必要があり、先述した通りコストや手間がかかります。

残念ながら、音声認識システムはまだ人間レベルでの認識をすることができません。人間が耳で聞いてテキスト化する精度に比べ劣っており、不鮮明な声や方言やなまりを正確に認識できないなどの問題点を抱えています。

音声認識システムは導入するだけではうまく活用できません。定期的なチューニングメンテを行いましょう。

音質・音源の確保が必要

音声認識システムは、周りの環境によって 認識精度が変わってしまいます。これがもう1つの課題と言えます。

そのため、コールセンター業務環境を整えることから始めましょう。

・静かな環境を用意する
・ヘッドセットの活用

これにより、音声認識精度を上げることができます。

問題は 「顧客の環境」はコントロールできないということです。

つまり、顧客の通信環境や電話している場所によっては雑音が入ってしまい認識精度が下がってしまいます。またボリュームが大きすぎても認識精度は下がります。

この問題の対策は、オペレータが顧客の言葉を「翻訳して復唱」することをルールに盛り込むことです。 ポイントを復唱することで、のちのデータの分析につなげましょう。

メンテナンスなどのコストがかかる

何度も書きますが、コストがかかります。

導入コスト、メンテナンスのコストなど諸々…。

必ず「長期的に運用するためにかかる手間とコスト」「運用した際のメリット」「音声認識システムで何がしたいか」をきちんと検討しましょう。

音声認識システムの活用事例

音声認識システムを導入し活用した事例として「ノウハウの均質化」と「教育コストの削減」を目的とした2社をご紹介します。

トランス・コスモス社
コールセンターの大手企業、トランス・コスモス社で音声認識システムが活用されています。
体系化された運用ノウハウのあるトランス・コスモス社では、新たなシステムの導入は不要なのでは?と思ってしまいますが、この体系化されたノウハウを均質的に実行するには、オペレーター個々人の能力向上が必須です。この個々人の能力向上を効率的に行なうために、音声認識システムを導入したそうです。
音声認識システムの導入によって、客観的なデータを元にしたフィードバックをオペレーターに行うことが可能になりました。
また、全ての通話記録を統計的に処理するため、今まで把握することが難しかったひとりひとりのオペレーターのスキルを可視化することができるようになり、よりよい指導や自己反省が可能となり、全体の業務効率化につながりました。

みずほ銀行 : IBMワトソン
金融業界でも音声認識システムは導入されています。みずほ銀行が導入したのは、IBMの人工知能「IBMワトソン」です。
「IBMワトソン」と音声認識を活用して、オペレーターと顧客の会話を理解し、回答候補を数秒ごとにオペレータの画面に自動表示する、オペレーター支援システムを構築しました。
このシステムの活用により回答が自動表示され、顧客対応の時間が削減されています。
また、オペレーターが顧客との会話時に適切な回答を得られるようになったことで、オペレーターを研修するための教育コストも低下しています 。

詳しくはこちらの記事にて紹介しています。

▼関連記事:コールセンター向け音声認識システム導入の効果とは?活用事例と比較のコツ

コールンセンター向け音声認識システムについてのまとめ

いかがでしたでしょうか?音声認識システムはコールセンターだけではなく、さまざまな分野で発展しています。誰もが一度は「Hey Siri」といったことがあるのではないでしょうか?多種多様な業界で注目される「音声認識システム」は、今度も多岐に渡り発展することが期待されています。

「どのように活用するか」「そのためには何が必要か」を考えるのがとても楽しくなる分野ですよね。

システムは導入しただけではうまく運用できません。メリットやデメリット、その対策をきちんと理解しましょう。

ただ、「導入したい」「導入した」では宝の持ち腐れです。うまく活用しコールセンターの運用に活かしてください。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
コールセンターの業務効率化を検討する際の参考として、ぜひご活用ください。

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