コロナワクチン

3回目接種に対応するためのシステムアップデートと、自治体で行うべき準備

最終更新日:2022年4月1日

この記事は、音声認識システムやLINEミニアプリなどの先端システムを使って、『お問い合わせ革命』を実現する株式会社サイシードが作成しています。

サイシード
サイシード代表の松尾です。
今回の記事ではサイシードの『コロナワクチン接種専用予約管理システム』の3回目接種への対応方針と、自治体で行うべき準備について説明していきます。

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また、弊社サイシードが提供する予約管理システムに関する情報は全てこちらのページにまとめているので、合わせてご確認ください。

2021年12月から18歳以上の3回目接種が進められ、2022年3月下旬より12〜17歳の接種も開始されました。弊社では、8月から様々な方面から情報収集を行い、3回目接種を行う際のシステムと運用面の設計を考えてきました。
そこで、今回の記事では、3回目接種で弊社の予約システムを利用する際、自治体がどのような準備を行う必要があるのかをお伝えします。

この記事の目次

3回目接種を考える上での前提条件

まずは、システムの方針を検討する上で、3回目接種に関する前提条件を整理します。

3回目接種が1,2回目と変わらない前提条件

・全ての接種で同一の接種券番号を使用する

3回目接種が1,2回目と異なる条件

・初回(1回目・2回目)が完了した12歳以上の全ての人が対象
・1,2回目の間隔は3週間もしくは4週間だったが、2,3回目の間隔は最短で6ヶ月
・(都道府県が扱わない場合)先行接種対象者・職域接種対象者も自治体で接種を行う
・予約ではなく、自治体側で日時を指定することも可能
・3回目接種では交差接種が可能

この中で特に影響が大きい条件が「先行接種対象者・職域接種対象者も自治体で接種を行う」です。
医療従事者は市町村が扱うか都道府県が扱うか地域ごとに選択できますが、都道府県が扱わない場合、必然的に県内の各市区町村で扱う形になります。
この対象者は、これまで都道府県と企業管轄だったため、自治体が利用する予約システムに1,2回目の予約情報が入っておらず、接種間隔の制御ができません。(VRSか予防接種台帳には接種実績があるはず)

(出典1)220128_第11回厚生労働省自治体説明会
(出典2)220325_第12回厚生労働省自治体説明会

システムにおける2つの対応方法

上記の前提条件に対して、システム面においては、大きく次の2つの対応方法があると考えています。

A,3回目接種の予約を独立して取得できるようにする

接種間隔とワクチン種別による制御をせずに、3回目接種だけを独立した予約として受け付ける方法です。(3回目接種のみ新しいシステムを新規で導入する場合も、この方法に該当します。)

【メリット】
・システム側の制御を検討する必要がないので、導入が簡単
・1,2回目接種は今までのシステムのまま、3回目接種だけシステムを変更することも可能
【デメリット】
・予診票付き接種券の発送を接種間隔に厳密に行う必要がある
・システムの制御がないため、接種会場での厳密な確認が必要

B,3回目接種日時を1,2回目の予約情報から厳密に制御する

予約システムで全ての予約・接種実績を一元管理することで、接種間隔を厳密に制御する方法です。このやり方が正攻法ですが、
・予約システム側でデータインポートに対応していること
・データインポート作業をやりきれること
が必要になります。

【メリット】
・システムで正確に制御できるので、接種会場での確認負担が少ない
・1,2回目も3回目も同じシステムを利用できるので住民の混乱がない
【デメリット】
・システム面での対応が必要で、対応していない場合は改修が必要
・データの取り込みにもかなり工数がかかる (たいていはデータの不備によるトラブルが多発する)

サイシードの対応方針

サイシードの予約管理システムでは、Bの方法で対応します。(Aの方法は前提条件が崩れた場合に追って検討)
人口数の少ない自治体や医療従事者・職域接種対象者が少ない自治体ではAの方法でも問題ないと思いますが、1件でも接種事故が起こると問題になることが予想されるため、システム面で可能な限りその確率を下げたいと考えています。

サイシードの3回目接種の制御ロジック

・住民サイトでは、2回目接種の予約が完了した住民に3回目予約のボタンが表示される
・3回目接種は2回目から一定間隔を空けないと予約できない
(接種間隔は6,7,8ヶ月の3種類から設定可能)
・3回目接種では交差接種が可能
・年齢制限機能により12〜17歳の3回目接種にも対応可能
(・希望自治体には、サイシード側でVRSデータからDBに直接取り込む運用を行う)

3回目接種時の住民サイト側のイメージ

【補足】
※自治体のVRSデータのうち、弊社が取り込める正しいデータか否かを判定するVRSチェッカーは管理画面の機能に追加します。
アップデートのスケジュールについてはこちらの記事でご確認ください。

システムの改修費用

各自治体で予算の計上を行う必要があると思うので、費用面についても補足します。
弊社の予約管理システムは、クラウドサービスとして提供しており、システムの機能追加は個別の改修ではなくシステム全体のアップデートという考え方であり、改修費は発生しません。(月額利用料に含まれます)

ただし、VRSデータのDBへのインポートについては、弊社側で作業を行う必要があるので、別途費用が発生します。
詳しくは進捗共有会でご案内いたします。

【補足】既に存在する機能である「一括予約」および「インポート用一括予約」は自治体で利用可能です。
自治体独自でフォーマット変換を行い、この機能を使って外部のデータを取り込むことも可能です。その場合、弊社は一切関わりませんので、費用は発生しません。
※ただし、この場合は住民情報登録画面には遷移しませんのでご注意ください。

3回目接種に向けて、自治体で行う準備

3回目接種の開始前に、大きく次の5つの準備を行う必要があります。
ここでは、弊社側でVRSデータの取り込みを行う場合について紹介します。

VRSデータのインポートを行う際の作業フロー

1,VRS公式のデータ確認機能を使って、エラーデータを修正
2,先行接種対象者の接種実績を予診票からVRSに登録(完了していない場合)
3,サイシードのVRSチェッカーに、修正後のVRSデータをアップロード
4,VRSチェッカーの判定結果つきのcsvをサイシード側に送付
5,サイシードでインポート作業
6,(新規導入の場合)会場、予約枠等を準備し予約を受け付けられる状態にする

1,VRS公式のデータ確認機能を使って、エラーデータを修正

VRSの機能に「登録データチェックリスト」が追加されています。
チェックリストのcsvをDLし、予診票と照らし合わせながらVRSの登録データを修正してください。
※かなりのエラーが発生すると思うので、なるべく早くご対応ください。

2,先行接種対象者の接種実績を予診票からVRSに登録(完了していない場合)

先行接種対象者については、各病院と国連保から自治体に予診票が届き、それをVRSに登録していくという作業を行っているかと思います。
その作業が完了していない場合は、事前に完了させてください。
※このデータを元に、接種券付き予診票の印刷・発送準備も並行して行ってください。

3,サイシードのVRSチェッカーに、修正後のVRSデータをアップロード

サイシードの予約管理システムの「VRSチェッカー」に、1,2完了後の予防接種台帳向けVRS出力csvをアップロードすると、各行に対してインポート可能な形式か否かを判定します。
※有効接種券を登録していない場合はインポート不可になるので、事前に漏れなく登録してください。

サイシードのVRSチェッカーの仕様

4,VRSチェッカーの判定結果つきのcsvをサイシード側に送付

アップロード完了後、上図のような判定結果のcsvが出力されます。そのcsvを編集せずにそのままパートナー経由で弊社に送付してください。
※判定結果で、インポート可と判定されたレコードのみインポート対象とするので、不可と判定されたものは自治体側で必要に応じて個別に登録してください。

5,サイシードでインポート作業

VRSチェッカーから出力されたcsvを元に、サイシード側でDBにインポート作業を行います。その際に、予約管理システムのデータ構造に合わせる必要があるので、下記のように変換を行います。

サイシードのインポート作業で作成する3種類のデータ

・接種会場:VRSの会場名データは表記ゆれが多く、会場として登録されていない可能性も高いので、全て『データ移行用会場』という1つの会場に統一します。
・予約枠:VRSには接種日はありますが予約時間のデータはないので、「ワクチン種別」×「日にち」ごとに『ファイザー_210401』のような予約枠を作成し、全ての該当する予約をその予約枠に登録します。
目的である接種間隔の制御は接種日だけ分ければ良いので、問題ありません。

【補足】
※弊社の予約システムを使って予約を取得している場合、VRSに登録されているデータをそのままインポートすると重複してしまうので、通常の予約と同条件での制御をかけてスキップします。

6,(新規導入の場合のみ)会場、予約枠等を準備し予約を受け付けられる状態にする

3回目接種のタイミングで、新規でサイシードの予約管理システムを利用する自治体については、これから予約を受け付ける会場・予約枠等を通常フローに沿って準備する必要があります。
詳しくは「ワクチン接種予約管理システムの仕様紹介」記事をご覧ください。

(参考)VRSデータ移行で個別対応が必要なケース

転入タイミングごとの、VRSのデータの状態

VRSデータの仕様として、「転入者であっても、他の自治体で発行した接種券で接種した実績は、自分のVRSデータには入らない」ようになっています。
したがって、
・1回接種した後に転入した住民は、2回目の接種実績だけがある状態
・1,2回接種した後に転入した住民は、接種実績がない状態

になります。

これらについては、VRSの端末から転入前の接種実績を「照会」するか、コールセンターで本人への聞き取りを行い、予約システムに接種実績を登録していく必要があります。

都市圏の自治体だと、人口の1-2%ほど対象者が発生する可能性があるので、その作業工数も想定しておく必要があります。

まとめ

今回の記事では、3回目接種に対してシステム面でどのように対応するか、自治体側ではどのような準備が必要かを詳しく説明しました。
新しい情報や仕様が出次第、こちらの記事に追記していければと考えています。

<既に予約システムを利用いただいている自治体>
これまで同様、進捗共有会で最新の情報を適宜共有しております。質問がある場合は、パートナー経由でお問い合わせください。

<新規で予約システムを導入、切り替える自治体>
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『コロナワクチン予約管理システム』概要資料(3回目接種対応)DLページ

サイシードが提供する『コロナワクチン接種予約管理システム』では、複雑なワクチン接種の実務に対応できる様々な機能が搭載されています。
その機能や申込方法・納品スケジュールについて詳しく説明しているので、ぜひご覧ください!