コールセンター

コールセンター・カスタマーサポートへチャットボットを導入する際の3つのハードルとは?

最終更新日:2018年8月24日
このブログは、コールセンター向けのFAQシステムやチャットボットを提供する
株式会社サイシードが作成しています。
最新の事例や企業での活用方法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

サイシード
こんにちは、松尾です。
今更ですが『進撃の巨人』にハマっていて、昨日壁の秘密を知って驚愕したところです。
ハマりすぎて飲み会で『奇行種』のモノマネを披露してからというもの、社員との間に見えない三重の壁が出来た気がします。
やはり、経営者は孤独ですね。。

今回の記事では、コールセンター・カスタマーサポート向けに『チャットボット』の紹介をしようと思いましたが、少し方向性を変えてみようと思います。
というのも、実はチャットボットが向かない業態であったり、現状のままだとチャットボットを導入できない企業様からの問い合わせも増えているので、『チャットボット』を導入する際に直面する三重の壁をお伝えします。
また、この記事の最後には、「sAI Voice Analyzer概要資料」をプレゼント致しますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね!

この記事の目次

チャットボットとは

「チャットボット」は、情報検索のユーザーインターフェース(UI)の一種です。
ユーザーはLINEなどのチャットツールを用いて、短文もしくは与えられた選択肢を入力すると、1件もしくは数件の返答がボットから返ってきます。
一般的なチャットボットが回答を出す仕組みは、2つあります。

①事前に作成したシナリオに沿ってツリー構造に質問を絞っていく方法(=シナリオ型

②ユーザーから送信された文章に含まれるキーワードに反応して、事前に登録した回答を出す方法(=一問一答型

この仕組みの裏側にAIを組み込むことで、様々な表現を同じ意味だと理解し、適切な回答をすることが出来ます。
例えば、
・トイレに行きたいんですけど
・お手洗いの場所はどこですか?
・すみません、漏れそうです
という3つの短文で使われているキーワードや表現は異なりますが、『トイレの場所を知りたい』という意図は同じです。
これらを同じ意味だと認識できれば、『トイレの場所は~~になります。』と案内できるわけです。

コールセンターでチャットボットが注目される背景

一方でコールセンターでは、ご存知のように有効求人倍率の高まりによる企業間の「人の取り合い」や「キツい業務内容」を理由とした人件費の高騰、新人の研修不足やモチベーションの低下による人材の流出などにより、慢性的な『労働力不足』という問題を抱えています。
現場で対応する問い合わせは似たものが多く、カスタマーサポートの文脈でチャットボットが注目されるようになりました。

導入事例

実際にコールセンターにチャットボットが導入された先進的な例は、アスクル株式会社が運営する『個人用通販サイト「LOHACO」』のマナミさんが挙げられます。


こちらのサイトかLINEから、顧客が問い合わせをするとチャットボットの「まなみさん」が答えてくれるシステムを確立しました。アスクル株式会社はこの「まなみさん」の導入により、全問い合わせの1/3に自動対応が可能になったと大体的に広報をしたこともあり、一気に注目されるようになりました。

チャットボット導入における3つのハードル

さて、いよいよ本題です。
カスタマーサポートが抱える課題を見事に解決できるように思えるチャットボットですが、闇雲に導入しても思うような成果は挙げられません。
ここでは、導入時に直面するハードルを1つずつ説明していきます。

FAQ作成のハードル

先ほどチャットボットが回答を出す仕組みを説明しましたが、これを作成する作業がかなり大変です。
よく『メールとかエクセルとか、そういうデータがあればチャットボットがいい感じに理解して回答できるようになるんでしょ?』と勘違いする方もいますが、そういうわけではありません。CMの過剰演出のせいですね。
チャットボットが動くには最低限、想定される質問文と回答文のセット(=FAQ)が必要です。

質問文の件数としては500~1000件程度の企業が多いですね。
さらに、一問一答で答えられない複雑な回答には回答を絞っていく条件分岐を作る必要もあります。
例えば、「PCの電源がつかない」という質問に対して、具体的な症状によって回答が変わったり複数の原因が考えられる場合、次のようにツリー構造で分岐を丁寧に作成することで、ユーザーを自己解決に導くことが出来ます。

コールセンターの普段の業務でさえ人手不足の状況で、過去の問い合わせ履歴を引っ張り出してきてFAQの作成を行うのは簡単なことではありません。

『うちはFAQ3000くらいあるから、ボットは難しいんじゃないかな?』という企業様も多いですが、私の経験上、条件分岐でしっかり整理すれば1000件程度に収まります。

AIが学習するハードル

なんとか第1のハードルを超えればチャットボットは使えるようになります。
しかし、まだ実用できるレベルではありません。
というのも、AIの学習が進んでいないからです。
AIを学習させるには、AIが提示した回答に対して「正解」か「不正解」をユーザーにつけてもらう必要があります。

サイシード
不正解の場合は、正解の回答を紐付けられるのが一番良いですがユーザーに求めるのは厳しいでしょう

1つのFAQにつき、少なくとも200~300件の質問文のパターンと紐付けられる必要があるので、1000件FAQがある場合は約20万件の問い合わせをもらう必要があります。

サイシード
今まで電話で対応していたコールセンターの場合、過去の問い合わせデータは要約された形でしか残っていないことが多いので、実際のユーザーの入力文は1から集めることになります。

実用に耐えるレベルに育つまで、ユーザーに使い続けてもらうのは現実的ではありませんし、そもそもその件数の問い合わせが溜まるのにも時間がかかります。

オペレーションのハードル

なんとかAI学習のハードルを超えられれば、残すハードルはオペレーションのみです。
多くの企業では、チャットでAIによる自動対応で解決しなかった場合、オペレーターがそのまま引き継いで手動対応をするというオペレーションを引いています。
コールセンターの規模が大きい企業の場合は既存の電話と新たなチャットのオペレーターを分けて運用しますが、数十人規模の場合は同じオペレーターが電話とチャットの両方に対応することが多いです。
この場合、『電話対応中のオペレーターにチャットで問い合わせが来て顧客対応が遅れる一方で、電話もチャットも来ないオペレーターがいる』という非効率な状況が発生してしまいます。
この電話とチャットのオペレーターの稼働状況を一元管理して、問い合わせを適切に分配することがオペレーションのハードルになります。

まとめ

今回の記事ではコールセンター・カスタマーサポートでチャットボットを導入する際に見落としがちな3つのハードルについて説明させていただきました。
実は、ハードルを全て突破しても、チャットボットというUIの特性上そもそも向いてない業態があります。
それは、『ユーザーのリテラシーが高い』『条件分岐が5階層以上になる回答が多い』業態です。
チャットボットはどうしても会話のやりとりで返信時間がある上、一度に表示される候補が少ないので、回答にたどり着くまでに時間がかかります。
企業の情シスがユーザーとなるインフラシステムや、現場エンジニアがユーザーになる工場設備など、問い合わせをするユーザーのリテラシーが高い場合は、むしろ早さと視認性を重視したFAQシステムのUIを採用する方が理にかなっていると、最後に補足させてください。

サイシード
なるほど。『そういえば、ハードルだけ説明して解決法は言わないのかよ!』と気づいたあなた、鋭いです。 そのようなツッコミを入れていただく仕様になっております笑 解決法についてはそれぞれ別の記事で紹介していますので、そちらを見つけていただくか、面倒であればお問い合わせください。 こちらのフォームから、「sAI Voice Analyzer概要資料」 をDLいただけます! コールセンターの効率化を検討する際の参考として、ぜひご活用くださいね。
sAI Voice Analyzer概要資料

sAI Voice Analyzerは音声データをテキスト化し、問い合わせ内容を要約することで、コールセンターの効率化やFAQシステムの効果的な運用に活かしていくサービスです。また、あきらかになった課題をもとに、FAQ強化の提案やシステム導入、オペレーションの改善提案を実施します。こちらの資料では、機能・特徴・価格などのサービスの詳細について紹介しています。 音声データの分析を検討している方は、ぜひ検討いただければと思います。

資料をダウンロードする