sAI Search 導入事例

レガシー体制が続く銀行業界で豊富なリアルタイムデータを活かす方法とは?

最終更新日:2021年3月15日
このブログはAIを活用したFAQシステム『sAI Search』を提供する、株式会社サイシードが作成しています。
最新の事例や企業での活用方法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

センシティブな個人情報が多いゆえ、レガシーシステムが数多く残され、情報活用の規制も厳しい銀行業界。そんな中、2020 年 の「sAI Search」と「sAI Search BOX」の導入によって、「サイト訪問者の行動履歴をマーケティングデータとして活用」する試みに取り組んでいるのが東京スター銀行です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)への大きな舵切りが迫られる銀行が、今現在抱える課題とは何か、そしてその解決策や期待されるデジタル活用法について特別対談を行いました。

株式会社東京スター銀行 イーバンキング部 部長
吉原 丈司氏
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株式会社サイシード 代表取締役
松尾 陽二

記事の最後では「もともとデータリッチな銀行業界。常識を覆す顧客戦略は、データの活用法にあり~東京スター銀行の導入事例 ~」をプレゼントいたしますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね!

データは豊富にも関わらず、それを活用できないレガシー体制

―― 東京スター銀行は2020年に「sAI Search」(FAQ 検索システム)と、「sAI Search BOX」(サイト内検索システム)を導入し、それらのデータを顧客行動分析に活かそうとされています。その狙いについて、お話を伺えますか。

吉原「我々の業界は、信頼の裏返しということで、セキュリティに気をつけなくてはいけない前提があります。それゆえ、多くのお客さま情報を持っているにも関わらず、その情報を生かしきれてない面があります。お客さまの状況、取引内容、コールセンターや営業行員のタッチポイント、あるいはインターネットバンキングでの履歴などがすべてシームレスにつながっていれば理想的なデータになるわけですが、現状ではつながっていません。そのため、例えばWEB経由で問い合わせたが解決できなかったため窓口を訪ねたのに、再度その説明を窓口でしなければならないなど、お客さまから見れば『自分のことを分かっていないのでは』と感じられることもあるのではと思います。それらのお客さまサービス向上、そして最適化に対して取り組まなくてはいけないという課題がある中で、その第一歩としてサイシードさんとチャレンジし始めたところです」

サイシード「確かに銀行・金融業界は非常にセンシティブな情報を扱われているため、情報の取り扱い、セキュリティが非常に厳しいですね。他業界ではヘルスケアが似た状況にあるように思います。その一方、銀行のDX化には非常に大きなポテンシャルを感じています。というのも、銀行・金融業界は、顧客のすべての情報をもともとデジタルで持っているからです。どの口座にいくら振り込んで……といったあらゆる取引情報はすでにデジタル化されているので、考え方によってはさらにデジタル技術を応用することで大きく変わることができるでしょう。そのような背景もあり、フィンテックをはじめ多くのDX関連参入者がいる状態です。銀行は様々な規制があるゆえに変わりづらいという点があるのは確かですが、変わりづらい理由は消費者からは見えません。むしろ新規参入者でベンチャーですとアピールするのではなく、すでに大きな資産・信頼、そして口座があるところからスタートできるので、新しい取り組みをするにあたって、銀行は非常に面白い立ち位置にいるはずです」

お客さまのニーズが多様化する今、求められているのは即座に反応できるサービス設計

―― 安全を担保したうえで、銀行業界の各種データ・お客さま情報の利活用は、今後どのように変化されると思いますか?

吉原「すでに一部の先進的な銀行サービスではお客さまの行動分析を行い、それに基づいたマーケティングを開始しているところがあるようです。
我々の立ち位置としては、まさにそれをやり始めたところ。このスピードはどんどん速くなっていくはずで、『今やっていないから来年から』ということでなく、『今やらないと来年はもう追いつけない』くらいのスピード感だと感じています。実際、我々自身もこれをやらなきゃいけないということに気づき始めてから、やるまでのスピードがこれまでの施策に比べかなり速くなってきていますね」

―― お客さまの行動分析が変化しつつあるとのことですが、これまではどのようなマーケティングがなされていたのでしょうか?

吉原 「従来のお客さまの行動分析は、お客さまを非常にマスで捉え、少々紋切り型に『こういう行動だから、こういうニーズがあるはずだ』と捉えるものでした。しかし、銀行に限らずお客さまの行動は非常に多様化しつつあります。
ですから、これから我々がやるべきなのはマスではなく個別の行動分析。『お客さまがこういう動きをした』、『お客さまがこういうことを望んでいます』などを、もっと粒を小さく、きちんと把握するマーケティングが求められていると思います。それが実現すれば、我々もより適切なご提案ができるでしょうし、お客さまも我々に対して『常に自分のことをよく理解してもらっている上での提案』と受け止めてくださる。まさにお客さまの利便性・体験価値が上がるのではないでしょうか」

―― 先ほど、吉原さんが「紋切り型ではなく、細かな行動実態からお客さま像を特定しなくてはいけない」とおっしゃっていましたが、それらをデータ分析するために必要な事柄はありますか。

サイシード「実は中古自動車の業界は、今の銀行と同じような変遷を経ているように思います。20~30年前までは、とにかく広告を打って売れればそれで終わりという商売で、CRM、すなわちお客さまと継続的な関係性を築き、お客さまが何を求めているか理解しようという考え方は全然ありませんでした。中身がボロボロでも売れたらOKという業界だったのが、この20年ぐらいで価格やお客さま重視の評価に変わっていった。
さらに昔は車種そのものが大ヒットしたり、プロレスの試合は視聴率50%というような時代もありましたが、今はそんな大ヒットが生まれづらくなっています。ヒットの粒がどんどん小さくなり、マーケティングの定義が難しくなっている。お客さまの行動やセグメントを細かく見て、「この人たちにこういったことを届けよう」という個別行動の理解は非常に重要ですし、それができれば施策を打ってから顧客の反応を模索するという流れを断ち切れます。半年やってみてから粗利などを評価すると、一つの施策評価に時間もコストもかかってしまいますが、施策を試しに打って、アクティブレートや反応率をリアルタイムで見ながら1~2週間で判断・修正できるサイクルがあれば、様々な方策をかなり早いスピードと精度で回すことができるでしょう。半年かけて判断する会社と、1週間ほどで回せる会社を比較すると、5年も経てば決定的に大きな差が出てくるのは当然かと思います。弊社のミッションは、そんな高速のPDCAを回せる会社を増やしたいということが背景にあるのです」

吉原「まさに耳が痛い指摘ですね。いま進めている施策、これからやろうとする施策は、どれだけスパンを短く高速で回せるか、どれだけその施策を改善できるかというところにかかってくると思います。
今回導入した『sAI Search』、そして『sAI Search BOX』でお客さまが入力したキーワードやその結果どんな反応があったのかは、お客さまから我々に直に届いた言葉・動きと捉え、それをうまく分析することを一つの武器として、我々のCRM戦略の強化につなげていきたいと考えています」
(続く)

(*会社概要表:(2020年3月末現在))
会社名 株式会社東京スター銀行
所在地 東京都港区赤坂二丁目 3 番 5 号
創業 2001 年 6 月
従業員数 1,687名公式サイト http://www.tokyostarbank.co.jp

サイシード
最後までお読みいただき、ありがとうございます。今回は、インタビューの一部を紹介させていただきましたが、こちらのインタビューのフルバージョンをご覧になりたい方は下記のフォームからDL出来ますので、こちらも併せてご覧ください!
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