【2023年】スーパーアプリとは何か?ミニアプリとの違いと、スマホアプリが大転換期を迎えた理由

最終更新日:2023年1月10日
皆さんはスーパーアプリというものを聞いたことがありますか?スーパーアプリとは「1つのスマホアプリ内で、様々なWebアプリを起動できる、プラットフォームとなるアプリ」のことを指します。
本記事ではスーパーアプリについて、その仕組はもちろん、中国の事例から将来のビジネスに与えるインパクトまで、かなり広く網羅しました。
また、スーパーアプリ導入のメリットやミニアプリの開発方法も紹介しています!
マーケティング担当者はもちろん、事業責任者や経営者の方にはぜひご覧いただきたいと考えています。
※本記事の読了にかかる時間の目安は約10分です。
この記事の目次
スーパーアプリとはなにか
スーパーアプリとは「1つのスマホアプリ内で、サードパーティ製の様々なWebアプリを起動できる、プラットフォームとなるアプリ 」のことを指します。
スーパーアプリの中で起動できるアプリ群のことを日本では『ミニアプリ』と呼びますが、ミニアプリ発祥の地である中国ではそれを『小程序』と表記し『ミニプログラム』と訳されます。(もちろんこれらは同じものを指していますので、記事の中でどちらの表現が出てきても慌てないでくださいね)
中国では、2016年後半からいくつかのアプリがスーパーアプリ化してきました。スーパーアプリの1つであるAlipayでは、含有するミニアプリ数が100万個を超えています。
これは、日常的に使われるネイティブアプリが、 もはや他のアプリを利用するための新たなプラットフォームになっていることを示しており、大きなパラダイムシフトの前兆だと言えるでしょう。
スーパーアプリとミニアプリの違い
スーパーアプリとはミニアプリを搭載したプラットフォームになるアプリのことを指します。スーパーアプリ自体は一般的なネイティブアプリ(=アプリストアからダウンロードするアプリ)ですが、ミニアプリはスーパーアプリからダウンロード不要で起動するアプリです。
例えば、日本国内の利用者数が8,400万人を超えたLINEもスーパーアプリの一つです。LINE内には美容室のクーポンアプリやタクシーの配車アプリ(ミニアプリ群)が搭載されていますね。


スーパーアプリが注目される理由
スーパーアプリが注目されている理由は、急速なユーザー数の増大によって、その有用性が実証されつつあるからです。
中国でWeChatが初めてスーパーアプリ・ミニプログラムの仕組みを導入したことにより、Wechatの利便性が更に高まりユーザーがアプリを使うプラットフォームに変化を与えました。
上記動画では、WeChatスーパーアプリの経済効果を踏まえた上で、LINEミニアプリの将来性を紹介しています。ミニアプリはダウンロード不要で、ユーザーの携帯端末の容量を消費しないため、アプリを削除されにくいというメリットがあります。

QuestMobileの調査データによれば、ネイティブアプリとミニアプリの両方でサービスを提供している場合でも、ネイティブアプリよりミニアプリの方が利用される場合が多いことがわかっています。
上記のグラフの中で灰色の部分が、WeChatミニプログラム経由の利用ですが、利用経路のうち約70%以上がミニプログラム経由であるアプリも存在することがわかります。
どれがスーパーアプリ?日中合わせて8つの事例を紹介

中国のミニアプリ市場と比較すると、日本の市場はまだまだ発展途上ですが、これから大きく拡大していく見込みです。いくつかのアプリは既にスーパーアプリ化を目指して機能拡充をしており、スーパーアプリだと知らずに利用した経験のある方もいると思います。
この章では日本・中国のスーパーアプリについて8つの事例をご紹介します。
1, テンセント社が提供する『WeChatミニプログラム』

現時点では、WeChatミニプログラムが最もユーザー数が多いスーパーアプリとなっています。2019年6月時点の調査によると、WeChatアプリのMAU(月間利用者数)は約9.4億人おり、そのうち7.4億人が WeChatミニプログラム を利用しています。
WeChatミニプログラムについては、こちらの記事で詳しく紹介しているのでぜひご覧ください。
2, アリババ社が提供する『Alipayミニプログラム』

アリババ社が提供する「Alipayミニプログラム」は、月間アクティブユーザー(MAU)が5億人を超えており、Alipayミニプログラムの元で動作しているミニプログラムの数は100万人を超えています。
Alipayミニプログラムでは、分割払い・デポジット・レベニューシェア・法人から個人への現金付与など、決済系の機能が非常に充実しています。
3, 百度社が提供する『百度ミニプログラム』

百度ミニプログラムは、自社で様々なAI機能モジュールを提供しており、アプリ開発者は気軽にその機能を利用することができます。
他のプラットフォーム向けに開発したミニプログラムのコードをそのまま利用してアプリ開発ができるという特徴を打ち出し、ミニプログラムの数を増やそうとしています。
4, バイトダンス社が提供する『抖音ミニプログラム』
ByteDance社はTikTokを運営している企業です。
最近は米国事業をオラクル社と提携するなど何かと話題なので、名前を聞いたことある方も多いのではないのでしょうか?
抖音ミニプログラムは「今日头条」「抖音短视频(TikTok)」「皮皮虾」「西瓜视频」など様々ありますが、レコメンドエンジンが非常に強力な点が特徴です。
自分にあったコンテンツが次々と表示されるため、多くの時間をミニプログラムに費やすことになります。
今日头条:AIのレコメンドでパーソナライズされたニュースアプリ。テクノロジー、スポーツ、健康、食品、NBAなど100以上の分野がある。MAUは2.4億人となっている。
抖音短视频(TikTok):世界NO.1のショートビデオプラットフォーム。2020年1月現在、中国国内のDAUが4.5億、海外版のTikTokが4億となっている。ライブコマース機能も完備している。
皮皮虾:「幸せを広め、人生を共有する」というビジョンのもとに作成されたお笑い系のSNSコミュニティープラットフォーム。
5, LINE社が提供する『LINEミニアプリ』
LINE社が提供するミニアプリ(アプリ内ではサービスと呼称)では、数多くのミニアプリがリリースされています。
LINE内でミニアプリを使う際は、LINEアプリ内の「ホーム」から「サービス」を選択するとミニアプリ一覧が表示されます(2020年6月現在) 。

LINEでは、ミニアプリ以外にもLINE公式アカウント上で動くアプリも提供しております。正式なサービス名ではありませんが、これも広義のミニアプリと言えるでしょう。
LINEミニアプリについては、こちらの記事で詳しく紹介しているので、合わせてご覧ください。
6, PayPay社が提供する『PayPayミニアプリ』

PayPayアプリ内から利用可能な「PayPay」ミニアプリでは、タクシーの配車や資産運用などのサービスを利用可能です。
PayPayでDiDIを使ってタクシーの配車を行った場合、利用料金はアプリ内で完結します。また、利用料金に応じたポイントバックもあります。
PayPayミニアプリについては、こちらの記事で詳しく紹介しているので、合わせてご覧ください。
7, NTTドコモ社が提供する『d払いミニアプリ』

d払いミニアプリでは以下の3種類のミニアプリが提供されています。
- JapanTaxi株式会社
- 株式会社ドコモ・バイクシェア
- 株式会社吉野家(一時サービス停止中)
利用方法はとてもシンプルです。d払いアプリを開き、「ウォレット」タブから利用したいサービスを選択するだけで該当サービスを利用することが出来ます。
支払いにはdポイントや携帯料金合算払いなども利用可能です。
8, KDDI社が提供する『au PAYミニアプリ』
au PAYミニアプリは、特に金融面でのサービスを充実させることで他社との差別化を計ろうとしています。2020年6月時点では、まだミニアプリの提供が確認できておりません。
決済アプリについては、ドコモ口座や7Payで不正利用があったため、慎重に開発を進めているのでしょう。
ミニアプリにはどんなものがある?実際の事例を6つ紹介
次に、上記章で紹介したスーパーアプリ上で動作する、ミニアプリの事例を国内外合わせて6つご紹介します。
1, WeChatミニプログラム『美団外売』

先程の図表の一番右側にある「美団外売」は、2010年に共同購入サイトからスタートしたサービスです。
現在は、日本でいうフードデリバリー/飲食店の口コミ/テーブルオーダーなど飲食に関わる全ての機能を搭載しているほか、ライドシェア/ホテル・旅行サービス/映画チケット販売など、娯楽に関する消費活動の全般を網羅するサービスを提供しています。
検索から予約・決済までシームレスに完結するので、日本企業にとって参考になる部分も多いのではないでしょうか。
2, Alipayミニプログラム『哈啰单车(Hello Bike)』
「哈啰单车(Hello Bike)」は、「すべての旅を歩く」というブランドコンセプトのもと運営されているバイクシェアリングサービスです。Alipay内のミニプログラムを起動し、QRコードをスキャンすることで、自転車の鍵が外れます。
アプリ内で料金や貸自転車の位置情報を管理しているため、「乗りたい時に乗り、降りたい場所で降りる」というサービス形態を実現しています。
日本のシェアサイクルサービスとは異なり、電動自転車ではないため、低コストで大量の自転車を街中に設置することができます。

3, LINEミニアプリ『スシロー受付/予約』

スシローでは2020年6月から店舗予約が可能なLINEミニアプリをリリースしています。ほかのアプリと同様、スシローもインターネットでの来店予約をするためには専用アプリのダウンロードが必要で、容量も大きかったことから、利用開始までのハードルは高くなっていました。

来店予約に会員登録が必要
同機能をLINEミニアプリ化することで、アプリダウンロードの手間を省くだけでなく、会員登録を含む顧客情報の入力を省くことができるようになりました。より予約へのハードルが下がり、アプリを削除されることもなくなるため、店舗も顧客も双方にメリットがある仕組みとなっています。
LINEミニアプリについて興味がある方は、あわせてこちらの記事もご覧ください!
4, PayPayミニアプリ『TOHOシネマズ』

東宝シネマズにおいても、PayPayミニアプリから映画チケットを購入できるミニアプリがリリースされました。クレジットカード情報や会員登録は一切不要で、PayPayに登録された情報をもとに、PayPayで映画券の購入ができます。
ミニアプリを初めて開くと連携同意画面に遷移します。その後、位置情報取得のポップアップが出現し、同意ボタンを押すと、お近くの東宝シネマズが自動的に検索されて昇順に選択できる仕様となっています。とにかく驚くほどスムーズに映画の検索と購入ができるため、みなさんもぜひ一度お試しください。
PayPayミニアプリついてご興味のある方は、合わせてこちらの記事もご覧ください!
5, すき家のテイクアウト

弊社サイシードでは、2022年1月に全国牛丼チェーン店のすき家で利用されていたモバイルオーダーアプリのLINEミニアプリ化に貢献しました。
すき家では「すき家公式アプリ」を事前にダウンロードすることで、スマホから商品の注文や決済ができるようになっていました。その機能を丸ごとLINEミニアプリ化することで、すき家の利用者がアプリをダウンロードすることなく、より手軽にモバイルオーダーできるようになりました。
【ミニアプリを実際に利用した所感】
・最寄り店舗までの距離が1m単位でわかるようになっており、住所も表示されるので、営業先など慣れない土地でも使いやすかった
・UIも迷わないデザインになっていて、直感的に注文できた
・支払方法がLINE Payしか選べない点だけ不便を感じた
6, d払いミニアプリ『吉野家』

2020年4月6日よりサービス提供が開始されたd払いミニアプリ「吉野家」では、テイクアウト限定で自宅から吉野家へのオーダー・料金支払いを行うことが可能です。
サービス自体は一般的なモバイルオーダーアプリと変わりないものですが、ミニアプリとして提供することで、ユーザーは新しくアプリケーションをダウンロードする必要がありません。また、プラットフォームアプリであるd払いとの連携も、非常にスムーズに行われます。
スーパーアプリとスマホアプリを比較した際のメリット
以上のように、スーパーアプリは多種多様な業界で使われています。
この章では、 スーパーアプリとスマホアプリを比較した際に、ユーザー側とアプリを提供する企業側のそれぞれにとって、どのようなメリットがあるかを紹介します。
1, アプリをDLする手間がかからない
ユーザーがアプリをダウンロードする必要がない点は、ミニアプリの最大のメリットです。
ネイティブアプリの場合、利用したいサービスごとにアプリをダウンロードする必要がありました。アプリの提供者は、いかにユーザーの手間にならないアプリダウンロードを実現するかということや、ユーザーがアプリを削除してしまわないよう工夫する必要があります。
ミニアプリを導入すると、アプリダウンロードに関する問題を一気に解決することができます。例えば、国内シェアが最も高いLINEでミニアプリを開発・提供した場合、ユーザーは自分の端末にLINEがダウンロードされていれば、そのミニアプリを利用することが出来ます。
2, 会員登録の手間がほとんどかからない
ミニアプリは会員登録の手間がかかりません。
ミニアプリは、プラットフォームアプリに紐づけられた形でサービス提供を行うため、1度プラットフォームアプリで情報の入力を行えば、その情報を使って1クリックで各ミニアプリに会員登録することができます。
新しいアプリを利用するたびに住所やクレジットカード番号などの情報を入力するのはとても手間ですよね。会員登録の手間がかからないという点は、ユーザー側のメリットであることはもちろん、サービス提供者側にとってもユーザーの離脱を事前に防げるというメリットに繋がります。
3, スマホの容量を気にせず利用できる

多くのミニアプリはHTML5をベースにした言語で動作します。これは、スマートフォン端末にアプリを直接インストールするのではなく、ブラウザ上でプログラムが動作することによってサービスを提供するため、ユーザーはミニアプリを利用するためにスマートフォン容量を消費する必要がありません。
例えば、HUAWEIは「Quick App」と呼ばれるミニプログラムのアプリストアを提供していますが、 1GBのストレージに保存できるAndroidアプリは20個前後であるのに対し、Quick Appであれば2000個以上のアプリの動作が可能になるとのことです。

4, アプリが削除されにくい

弊社の調査によれば、アプリを利用する人のうち85%が、利用しなくなったアプリを削除することがわかっています。その理由は「最初から削除するつもりだった」ことや「ホーム画面をスッキリさせるため」です。
ミニアプリの場合、使用頻度の低いアプリでホーム画面を埋め尽くすことがないため、ユーザーにアプリを削除されにくいです。LINEミニアプリの場合、アプリ利用と合わせてLINE公式アカウントに友だち追加させることも可能ですが、ネイティブアプリに比べて削除されにくいので、プッシュ配信が届きやすくなります。
5, 開発費が約半額で済む
ネイティブアプリを提供する場合は、iOSとAndroidユーザー向けに2つのアプリケーションを開発する必要がありました。
ミニアプリの場合は、スーパーアプリ上で動作するように1つアプリを開発をすれば、両方のOSで動作するため、開発費を約半額で抑える事ができます。
また、ミニアプリを他のスーパーアプリに搭載する際にも、同じHTML5の言語で開発されているため移植しやすいというメリットがあります。

6, アプリ内課金で決済手数料がかからない
ネイティブアプリの場合、アプリ内課金に従属する手数料(30%)をプラットフォーム側に支払う必要がありました。ミニアプリの場合は、決済代行業者の通常の決済手数料(3-4%程度)のみ支払えば良いので、アプリ提供者にとっては大きなコストメリットがあります。
スーパーアプリが成立した背景にある近年の技術発展
私見ではありますが、この章ではスーパーアプリが成立した近年の技術的な背景について考察してみたいと思います。
HTML5というプログラム言語の進化
ミニアプリは、HTML5をベースにしたプログラミング言語によって機能しています。昨今のプログラミング言語の進化はミニアプリ市場を作り上げた要因のうちの一つです。
ブラウザ上で動作するようなWEBアプリケーションは、今でこそ多くのユーザーから利用されているものの、HTML5やJavaScriptといったような開発環境が整うまでは、ネイティブアプリケーション(ここでは端末ダウンロード型のアプリを指す)と比較すると、後れを取る状況でした。
ところが、プログラム言語が進化するにつれ、Webアプリケーションが注目を浴びることになります。端末にダウンロードする必要があるネイティブアプリケーションよりも気軽に利用でき、機能面でも引けを取らないため、今では多くの人に利用されるようになりました。
通信速度の高速化
通信速度の高速化も、ミニアプリの台頭を語るにおいては重要な要因です。
フロント側で処理を行うWebアプリケーションでは、負荷のかかる動作の実現に一定量のデータ通信が必要です。従来の通信環境では、動作の実現に時間がかかることや、一部の機能が正常に動作しない(読み込まれない)ことなどの問題がありました。
2010年以降に、第四世代移動通信システム(4G)が世の中に流通したことによって、Webアプリケーションの動作処理問題が大幅に改善されます。
ページの読み込みに掛かる時間が短縮されたため、アプリのユーザー側も開発側も、従来以上にWebアプリケーションへ期待を寄せることとなりました。
以上のような通信技術革新が背景にあり、ミニアプリという概念が登場することとなります。最近では5Gの利用が一般化されることが話題ですね。来年以降、さらなる技術進化が起こることでしょう。
廉価なスマホ端末の普及
ミニアプリが登場することとなった3つ目の要因として、低価格スマートフォン端末の普及も挙げることができます。
日本ではiPhoneのシェアが高いため、あまり実感が無いと思いますが、中国ではHUAWEIやOPPOなどの低価格の端末が主流です。低価格の端末はストレージ容量が少ないため、あまり多くのアプリを入れることができません。
容量が少ない端末でアプリを使いたいというユーザーニーズも、ミニアプリ普及の背景の一つとしてあったと思います。
ミニアプリを開発する方法
日本では、現在ミニアプリを開発できるスーパーアプリは多くありません。基本的には、スーパーアプリを提供する企業が、内々で各種ベンダーに打診している状況だと思います。
LINEミニアプリを開発する方法
LINEミニアプリは、2020年6月まで一部のLINE公式パートナー企業のみが先行事例として開発・提供可能でした。
020年7月からは、LINE社がエントリー窓口を開設しており、 LINE公式パートナーを通さない 形でもLINE社の審査を通れば開発することが可能です。

現実的にはパートナー経由でしか使えない機能があったり、開発自体も複雑なため、パートナー企業に依頼するのが良いでしょう。
弊社はLINEテクノロジーパートナーであり、LINEミニアプリの開発実績も豊富ですので、LINEミニアプリの開発を検討されている方はぜひご相談ください。
WeChatミニプログラムを開発する方法
前述の通り、WeChatミニプログラムの開発には中国の審査部門とのコミュニケーションが必須となるため、中国語でのやり取りを行う必要があります。
弊社は中国の提携パートナーもご紹介できますので、ぜひお問い合わせください。
スーパーアプリ、ミニアプリは普及していくのか?

中村独自の視点で、大胆予想をしていきたいと思います。
既存のプラットフォーマー(Apple,Google)との覇権争い
日本国内では、AppleやGoogleなどの既存プラットフォーマーが大きくアプリ市場を独占している状態です。
例えばAppleのアプリストアは、アプリ内の売り上げの30%の手数料と、アプリストア内の広告で大きな収益を得ています。
2018年Q2時点では、Apple全体の売上のうち約15%が、アプリストア関連の「Services」による売上になっています。


この「Services」売上は年々増加しており、Appleがこの収益源をみすみす放棄するとは考えにくい状況です。
以上の売上データから考察するに、ミニアプリが日本国内にて普及した際は、既存プラットフォームとの競合は避けられません。AppleやGoogleはアプリからの収益が減少するリスクがあるため、対抗策を打ち出してくる可能性は大いにあります。
インドでは、Paytm(PayPayの仕組みを開発しているスマホ決済アプリ)とGoogleの対立が激しくなり、2020年10月5日に独自の「ミニアプリストア」を立ち上げています。
既存プラットフォーム側のAppleも、2020年6月22日のWWDC 2020でミニアプリを開発できる仕組み「App Clips」を、iOS14から提供すると発表しています。

アップルがApp Clipsを準備した理由はシンプルだ。「アプリをインストールしてもらうハードルの高さをなんとかする」ということだ。
iOS 14から始まるスマホの先の競争。“リアル”拡大するアプリ経済圏
スーパーアプリ同士の覇権争い
また、スーパーアプリが普及するにつれて、スーパーアプリ同士の覇権争いも起り得ます。中国では、WeChatミニプログラムとAlipayミニプログラムの2強となっているものの、8つの主要なスーパーアプリが存在している状況です。
例えばinstagramが、shopifyと提携することで決済機能を備えたスーパーアプリ化したのと同じように、日本でも新たなスーパーアプリが登場していくことが予想されます。
【はじめてのShopify】Instagram「ショッピング機能」設定方法
スーパーアプリの普及によって、消費者のサービス利用方法はどのように変わるのか
既存のプラットフォームを変容させる可能性があるスーパーアプリが、日本国内で普及することによって、我々消費者のサービスの利用方法はどのように変わるのかについて、最後に私の考え方を紹介しようと思います。
スーパーアプリの変革①ポータルサイトからユーザーが離れる
スーパーアプリが主流になった日本では、既存のポータルサイトを利用する必要性が低くなります。SNSを使って自社で集客できる企業は、ミニアプリを使って決済やリピート促進を行えるため、ポータルサイトを利用する必要がなくなります。
例えば、美容室のAshなどを運営するアルテサロンでは、Googleマイビジネス経由の予約が増え続けていると決算説明資料で説明しています。
スーパーアプリの変革②D2C型の商品やサービスが増える
今までユーザーとの間にあったポータルサイトや卸売りの役割を省くことで、自社でユーザーの行動データを取得できるようになります。
また、WeChatミニプログラムでは、チャットツールというUIを活かして、AIチャットボットやサポートセンターのスタッフが顧客対応を行うケースも非常に多いです。
LINEでもWeChatと同じことができるため、これらの定量的なユーザーの行動データと定性的な顧客の声を活かし、高速で商品開発・改善を行うD2C型の商品が増えてくるでしょう。
P&G は、なぜ D2C ブランドを買収し続けるのか?:「ECとD2Cは伸びている」
スーパーアプリの変革③スーパーアプリがマーケティング支援を行う
Amazonのコピー戦略をご存知でしょうか?Amazonは、言わずと知れたECプラットフォームであり、商品の購買データが集約されているため、売れる商品の特徴を明確に把握することが出来ます。
そこで、売れる商品を自社ブランドで安く提供する戦略で批判を浴びています。
超人気商品を”半値以下で提供”の恐怖ーーAmazonのコピー戦略を紐解く「3つの視点」
この事例でご理解いただけたと思いますが、プラットフォーマーにはデータが集まります。そして、次世代のプラットフォームであるスーパーアプリにも、より多くの顧客情報や購買情報が蓄積されていきます。
幸いなことに、この新しいプラットフォーマーは自社ブランドを立ち上げる代わりに、メーカーのマーケティング支援を行うビジネスモデルを選択しているようです。
資生堂は、既にアリババ社のデータを利用した商品開発を行っており、アリババのビッグデータをフル活用することで迅速な商品開発体制を構築しています。
スーパーアプリの変革④OMO型の顧客体験が増える
OMOとは、『Online Merges with Offline』というオフラインがオンラインに包含されるという概念です。
今まで計測できなかったオフラインでの行動が、テクノロジーの発展によりオンライン化され、計測できるようになることで、消費者の顧客体験が大きく変わります。
例えば、中国には「超級物種」というスーパーがありますが、商品のバーコードをWeChatミニプログラムで読み取ることで、商品がアプリのカートに追加されます。
そのままWeChat Payもしくは顔認証で決済を済ませ、従来のように持ち帰ることもできますし、30分以内に自宅に配達することも可能です。
消費者は、一連の購買プロセスの中でオンラインとオフラインを行き来しながら、タイミングに合わせて一番都合の良い方法を選択することが出来ます。
オフラインの行動は、計測するための条件を整えるのが面倒でしたが、ミニアプリによって様々な店舗のアプリを利用するハードルが大きく下がります。
今後は、このようなOMO型の店舗やサービスが増えてくるでしょう。
スーパーアプリとは?これから台頭する新市場まとめ
いかがでしたか?スーパーアプリは様々な可能性とメリットを持った新たなアプリプラットフォームです。ミニアプリのメリットを再掲すると次のとおりです。
- アプリをDLする手間がかからない
- 会員登録の手間がほとんどかからない
- アプリが削除されにくい
- スマホの容量を気にせず利用できる
- 開発費が約半額で済む
- アプリ内課金で決済手数料がかからない
withコロナの社会において、不要な接触を減らすという意味でも、我々の生活のIT化は一気に加速していきます。
この状況下でサービスを提供する手段としてのミニアプリの優位性は、本記事の中でご理解頂けたと思います。
弊社サイシードでは、新規事業開発・業務効率化のDXコンサルティングサービスとミニアプリやAIを使った先端システムの開発を、一気通貫で提供しております。
現在課題を抱えている企業様は、弊社が考えるベストプラクティスをお伝え致しますので、ぜひご相談ください。

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現在日本でミニアプリを開発するなら、LINEがほぼ唯一の選択肢になります。こちらの資料ではLINE上でどのようなミニアプリが提供されているか、最新の事例を解説しているので、ぜひ参考にしてくださいね。
LINE上で動く "ミニアプリ" とは!?
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