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コールセンターにおける感情分析導入がもたらす効果とは?得られるメリットと導入事例

最終更新日:2022年8月29日
このブログはコールセンター向けにAIを活用したソリューションを提供する、株式会社サイシードが作成しています。
最新の事例や企業での活用方法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

サイシード
こんにちは、サイシード代表の松尾です。
先日中国の整形シュミレーションアプリを使用してみたのですが、最近の中国のアプリはすごいですね。凄くリアルに「どこを整形すればどんな顔になるのか」をリコメンドしてくれました。ちなみに私は「男爵顔」と評価され、どんなイケメン的特徴を持った顔なのか調べてみたのですが、全て中国語だったのでわかりませんでした。
さて、今回は整形アプリのように、「未来だな~!」と感じるAIの技術を、ご紹介していきたいと思います!

AIによる感情分析技術が私たちの生活に浸透しつつある中、コールセンターにおいても感情分析技術の導入が検討されています。しかし、いざ導入しようとしても、感情分析って何?どんな効果があるの?とお悩みの方も多いと思います。

AIによる感情を分析する方法は「画像」「音声」「テキスト」の3つがあげられます。これらの方法で顧客の感情を可視化することにより、大きなメリットを得ることができます。
この記事では

  • AIが感情を分析する仕組み
  • コールセンターにおいて感情分析を導入する3つのメリット
  • コールセンター向け感情分析サービスの事例

について、詳細なメリットや事例を紹介しながらまとめています。
ぜひ最後までお付き合いくださいね!

この記事の目次

感情分析とは?AIが感情を分析する仕組み

機械学習、すなわちAIによる感情分析とは、文章や音声、画像などから感情を読み取る技術のことを指します。
コールセンターにおけるAIの感情分析技術の有用性について解説する前に、そもそもAIがどのように感情を分析するのかについて、どんな種類があるのか、またその仕組みや手法を説明したいと思います!

画像による感情分析

その仕組を簡単に説明すると、表情から感情を読み取る技術はベースとして1970年代に特許が取られている「FACS理論(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)」をご紹介することで理解が深まるかと思います。
この理論では、表情筋の動きをコード化し、その組み合わせから、顔の表情動作によって感情を定義します。
現在の画像認識では、その判断の部分にAIの技術が用いられており、自動的に感情を判別する機能が近年広まりつつあります。

音声による感情分析

次に挙げられるのが、音声による感情分析技術です。
この技術は近年コールセンター業界から注目を集めている技術になります。
この技術では、話者が発した音声の大小や高低などの変化のパターンをAIが解析し、話者の喜怒哀楽などの感情の変化を読み取ります

またこの音声の感情分析についてはこちらの記事で詳しくご紹介しておりますので、是非御覧くださいね!

テキストによる感情分析

テキストによる感情分析はテキストマイニングとも呼ばれ、文章に含まれている単語や表現、言葉遣いを分析・分類します。 データ収集や分析が容易で、アンケートの結果分析やチャットボットなど質疑応答ツールの精度向上などによく使用されています。

では、この技術によって得られるメリットは具体的にどのようなものでしょうか?

コールセンターにおいて感情分析を導入する3つのメリット

コールセンターにおいて感情分析技術を導入することによって以下の3つのメリットを得ることができます。

1. 成約率の増加
2. オペレーターの離職率の低下・モチベーション向上
3. 顧客のクレーム抽出が可能になる

これらのメリットについてそれぞれ詳しく見ていきましょう。

1.成約率の増加

コールセンターでAIによる感情分析技術を導入することの1番目のメリットとして、成約率の増加が挙げられます。なぜ成約率が増加するのでしょうか?
一口に成約率の増加といっても、様々な場面が考えられますので、一つ一つご紹介して行きたいと思います。

顧客満足度の向上による成約率の増加

コールセンターでは当たり前のことではありますが、基本的にオペレーターは顧客の表情を読み取ることができません。
声色ではあまり怒っていないように聞こえても、実は怒り心頭の状態かもしれません。
そんな時、長い時間顧客を待たせてしまったり、新人オペレーターがしっかりと応対できなかったら重大なクレームになりかねません。
そういった場合に感情分析技術を利用することで、顧客満足度を上昇させることが可能です。
AIがちょっとした感情の機微を察知し、上述の場合であれば、AIの判断に従いすばやく上長につなげることで顧客の機嫌を損ねることなく対応を行う事ができます。

このように、AIの判断に準じて、オペレーターが適切な対応を行うことで、顧客満足度の向上に繋がります。
結果として成約率の増加も期待できるといえるでしょう。

購買検討時の感情を可視化する事による成約率の増加

また、顧客の購買検討時にも技術を利用することで、成約率増加を見込む事ができます。
AIによる感情分析技術は、顧客が製品の購入を検討する際の感情の動きをモニタリングするのにも利用できるためです。

そこで抽出したデータに基づいて、どういった感情の時に顧客が購買の意思決定をするのかを可視化することができます。
この可視化したデータを販売戦略などに活用することで、効果的なオペレーションを行うことができます。

ここまで、成約率の増加というメリットにフォーカスしてご紹介しました。
更にこの技術は、コールセンター業界には悩ましい課題であるオペレーターの離職率を低下することにも効果を発揮してくれます。

2.オペレーターの離職率の低下・モチベーション向上

コールセンターに音声による感情分析技術を導入することにより、オペレーターが発する音声からストレスやモチベーションを把握することが可能になります。
顧客の無理な要望やクレームに対応することが、オペレーターに過度なストレスを与えてしまうことはしばしば見られるケースです。
そのような場合に、音声認識システムは、オペレーターがお客様に対して怒ったり、落ち込んだトーンで会話をしてしまっていないか、感情の推定も行うことが可能です。
また、オペレーターと顧客の会話で感情面での問題も拾い上げることが可能なので、スーパーバイザーはオペレーターにタイムリーなフォローを行うことができるようになります。
顧客対応だけではなく、オペレーターに対しても上長が適切な対応ができるようになることで、オペレーターの離職を未然に防ぐことにつながります。

以上のようなデータが蓄積されることで、オペレーター1人1人の状態を把握し、適切な対応を行うことが可能になります。
結果として、オペレーターの離職率の低下やモチベーションの向上が可能になるでしょう。

3.顧客のクレーム抽出

コールセンターにAIの感情分析技術を導入することで、表面化していない顧客のクレームを抽出することが可能になります。

上述したように、音声での感情分析技術を利用することで、音声から様々な感情の機微をAIが判断することができます。
そしてそれは、オペレーターと顧客との会話も例外ではありません。オペレーターの発言に対して受け答えをする顧客の音声の高低などをAIが解析し、表面化していないクレームの可視化やそれに基づいたオペレーターの選別ができます。

ここまでAIによる感情分析の仕組みや導入するメリットについて紹介させて頂きました。
メリットをざっと見てみても、コールセンター各社にとって魅力的な機能が沢山存在していると思います。


では、実際に感情分析を行えるツールはどのようなものがあるのでしょうか?実際のサービスをご紹介していきたいと思います!

コールセンター向け感情分析サービスの事例

ここからは、コールセンター向けの感情分析サービスや将来的にコールセンター分野で活躍が見込まれる技術を開発している企業について、各社のサービスの概要と導入実績などの事例をご紹介します。

Empath

Empath社の開発した「Empath」は音声などの物理的な特徴量から気分の浮き沈みや喜怒哀楽などの感情を独自のアルゴリズムを用いて判定するプログラムです。

「Empath」は導入実績も多数あり、コールセンターでの導入実績としては「Smart Call Center System」があります。
「Smart Call Center System」は顧客とオペレーターのやり取りの音声から感情を可視化し、管理者による分析やコーチングをサポートしてくれるソフトウェアとなっています。

Cogito

米Cogito社は、カスタマーサービスの担当者向けAIアシスタントを開発しています。

Cogito社の製品は、電話対応時の顧客とオペレーターの会話から音声をリアルタイムに分析する事が可能です。
顧客との会話スピード・会話のボリューム、感情等をモニタリングし、各顧客に最適な対応ができるようにオペレーターを支援します。

具体的には、顧客に共感しながら話す方法、最適な声のトーンや大きさ、顧客の意向を損ねることなく会話を中断するタイミングをオペレーターに提案してくれます。

Dialpad(TalkIQ)

企業向けクラウド型電話システムを提供する米Dialpad社によって買収された米TalkIQ社は、独自の音声認識技術と自然言語処理技術で構築されたAI音声分析サービスを提供しています。

同社の製品は顧客とオペレーターの会話をリアルタイムで分析し、顧客の質問に対する最適な返答を、オペレーターに提案してくれます。

また、会話中の音声から顧客の感情の起伏を分析・モニタリングする事により、顧客満足度を向上させるための会話のサポートを行います。

CENTRIC

CENTRIC社は、人の声を「言葉」ではなくを声色の変化や声の大小といった「音(トーン)」として捕らえる音声解析エンジンを導入したコンタクトセンター専用の「adscope VEA」というアプリケーションを開発しています。

約2秒毎に顧客とオペレーターの声を解析し、時系列に沿った感情の可視化や、聞きたいタイミングの会話のみをモニタリングすることも可能です。

その解析結果をオペレーターの教育などに活用することで、顧客満足度の向上が期待されます。

Affectiva

Affectiva社は「Affdex」という感情認識AIを開発しています。

感情認識AI「Affdex」を使用して日本国内においての「Affdex」の正規代理店であるCACが独自開発した「心sensor for Training」は、カメラを搭載したPCやタブレット端末上で利用できる表情トレーニングアプリです。

「心sensor for Training」は顧客への商材の説明や提案に向けた実践的な応対練習が可能なため、コールセンタースタッフの教育や顧客の表情分析への活用が期待されます。

KDDI総合研究所

KDDI総合研究所は、横顔からも表情の解析ができるアングルフリーな表情認識技術を開発しています。感情認識AIのコールセンターにおける試験的な導入実績もあります。

KDDIのコールセンターに感情認識AIを試験的に導入し、接客時のオペレーターの顔の動きから笑顔で接客できているか、リラックスできているかなどをモニタリング・解析した結果、コールセンター全体で表情改善への意識が高まったという実績があります。

Zinrai(富士通)

富士通の「Zinrai」は入力された音声データを解析し、声の高さなどの変化から顧客の満足度を定量化する感情認識AIです。

1秒毎にAIが音声を解析し、満足度スコアを数値化されます。
「Zinrai」のコールセンターにおける活用イメージとして、コールセンターでの会話から顧客の満足度を数値化して、顧客が満足した会話や不満足だった会話を抽出し、そのデータをオペレーターの教育に活用することが期待されます。

コールセンターにおける感情分析導入のまとめ

今回は、感情分析の活用により、得られるメリット・またそれらの技術を提供しているサービスのご紹介をさせていただきました。

しかしながら、現状で日本においては明確な成果が出てないため、オペレーターの離職等にお悩みの企業様であっても、導入前に慎重に検討を行うことをおすすめします。

また、感情分析のシステムは高額なため、主に大規模センター向けのサービスといえます。ブース数が20席以下のセンターでは、現実的な部分からシステム導入を行う方が効果を実感できると言えます。

そこでおすすめしたいのが、『sAI Voice Analyzer』です。

おすすめサービス 『sAI Voice Analyzer』

弊社サイシードでは、 蓄積されたコールログを分類し、要約・課題の特定を行い、どのような施策を実行する必要があるのかをご提案するVoC分析プロジェクト 『sAI Voice Analyzer』を提供しております。

コールセンターに着信している音声データを音声分析システム上で書き起こし、 それをコンサルタントが細かく分類・解析することで顧客からの具体的な問い合わせの内容を把握することが可能になります。単純なテキストマイニングよりも詳細かつ正確な分析が可能になる点が特徴です。

音声認識とコンサルタントの分析技術が合わさることで、今まで眠ったまま活用がされていなかった音声ログデータの有効活用が可能となります。

気になる方は是非以下のフォームからお問い合わせくださいね!

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sAI Voice Analyzer概要資料

sAI Voice Analyzerは音声データをテキスト化し、問い合わせ内容を要約することで、コールセンターの効率化やFAQシステムの効果的な運用に活かしていくサービスです。また、あきらかになった課題をもとに、FAQ強化の提案やシステム導入、オペレーションの改善提案を実施します。こちらの資料では、機能・特徴・価格などのサービスの詳細について紹介しています。 音声データの分析を検討している方は、ぜひ検討いただければと思います。

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