チャットボット

【2023年】AIチャットボット67社をカオスマップで徹底比較!15種類の機能に分けて性能を定量評価しました

最終更新日:2023年2月20日
このブログはAIを活用したチャットボット『sAI Chat』を提供する、株式会社サイシードが作成しています。
最新の事例や企業での活用方法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

リモートワークが定着してから、問い合わせ対応の自動化を検討している企業様からのチャットボットに関する問い合わせが急増しています。

とはいえ、検索エンジンで「チャットボット」と検索すると無数にベンダーや製品が出てきてしまい、結局「問い合わせにはどんなチャットボットが向いているのか」「弊社のサービスに適したツールがわからない!」と導入を頓挫してしまうケースも散見されます。

今回はそんな企業の担当者様向けに、数あるチャットボットの中から自社に合ったツールを選ぶ手法として「チャットボットの分類と比較基準」を分かりやすくお伝えしたいと思います!

この記事の目次

2023年度版チャットボットベンダーのカオスマップ

まずは、そもそもチャットボットのサービスを提供している国内企業ってどれくらいあるの?というのを視覚的にカオスマップ(いくつかのグループに分けてで一覧表示したもの)で整理したいと思います。

一口に「チャットボット」といってもこれだけのベンダーが存在しています。
これだけ数があると明確な比較基準がないと自社に最適なツールを選ぶのは困難といえるでしょう。

今回は、このカオスマップの図表で分けられている各セグメントどおりに、まずはそれぞれのサービスに適したチャットボットを探す手段として「どんなグループに分けることができるのか」をご紹介していきたいと思います。

チャットボットベンダーの分類方法

上記のカオスマップの分類方法は以下の通りに分類しています。

AIを搭載しているか否か

まず、チャットボットサービスは「AIを搭載しているか否か」で大きく二分することが出来ます。また、AI搭載、非搭載のチャットボットは更にそれぞれ種類が分かれます。

搭載しているAIが、「自社開発」か「OEM」か

AI搭載のものは大別して、AIエンジンの部分が「自社開発」のものか、あるいは他社AIを利用する「OEM提供」かに分けることが出来ます。

AI非搭載チャットボットは、「用途」で分類

非搭載のチャットボットについては各ベンダーによる技術的な差はほとんどありません。そのため用途によって各企業特徴を出しています。それぞれ「問い合わせ対応」に特化したものなのか、あるいは「マーケティング支援」、「インバウンド対応」あるいは「業務アプリ」に特化したものなのかによってそれぞれ分類していきます。

分類方法までご説明したところで、実際に各セグメントに属するチャットボットはそれぞれどのような特徴があるのかご紹介していきたいと思います!

それぞれのセグメントの特徴

自社開発AI

弊社も含め、チャットボットベンダーの主戦場になります。自社で開発しているため、AIのロジックを把握して精度を高められる点が最大の強みです。
最近では、導入を考える各企業にも知識がついて来たので、今後はネームバリューではなく、回答の精度や使いやすさなどが求められるシビアな市場となってきました。

このセグメントに属する各ベンダーは最新の技術や顧客の声を取り入れながら機能を強化できるか、ということが大事なポイントになってきます。
価格は月額20万円~40万円の企業が多いです。

他社AIのOEM提供

自社でAIエンジンを持っていないため、AIの学習でどうしてもブラックボックスが生じてしまいます。しかし、元々コールセンターを運営していたベンダーが、有人対応のアウトソースまで担える場合、総合力に強みが出ます。

逆に、チャットボット周辺領域での強みが特に無い企業が他社の販売力を期待して製品化している場合、OEM製品を使う他社と自社開発のAIベンダーに対する優位性を出すのは難しいでしょう。
価格は月額10万円~40万円の企業が多いです。

AI非搭載型「問い合わせ対応」

人工知能なし問い合わせ対応に特化したチャットボットは「シナリオ型」や「キーワード応答型」と呼ばれます。

これらのツールが問い合わせ対応を効率化できるケースは、商品が限定された青汁や化粧水のECサイト等、問い合わせの内容が数十種類に集約される場合に限られます。
価格競争が進んでいるので、月額5000円~5万円程度で使えるサービスもあります。

AI非搭載型「マーケティング支援」

申込みフォームをBot化したり、Facebook広告と組み合わせることで顧客獲得単価を下げるという使い方をします。ここ1年で「問い合わせ対応」から「マーケティング支援」に軸足を移したサービスが増えてきました。
価格は、月額数万円~30万円程度と幅があります。

AI非搭載型「インバウンド対応」

AI非搭載型「インバウンド対応」マーケティング支援と似たようなシステムが使われます。ホテルやレストランの問い合わせ対応→予約まで完結させる目的でチャットボットが使われます。

今後多言語対応のAIを搭載していければ、可能性は大きく広がっていく分野といえるでしょう。
価格は予約あたりの従量課金など、業界のマーケティング予算の商習慣に合わせて、料金形態は工夫されています。

AI非搭載型「業務アプリ」

このセグメントに属するサービスは非常に可能性があるといえます。
ITリテラシーが高くないユーザー向けに、業務アプリの主要な機能を切り出してチャットボット経由で登録や確認が行えるため、業務効率化のために導入する企業は増えていくでしょう。

このセグメントでチャットボットを探したい企業様は、社内システムとの連携が重要になってくるので、各ベンダーの開発力や開発リソースで判断することをオススメします。
価格はチャットボット自体の価格というより、システム開発として捉えたほうが良いでしょう。

AIチャットボットツールを判別する15機能を紹介

前章では、各セグメントの特徴についてお伝えしました。
一見すると同じように見えるチャットボットでも、分類をしてみるとそれぞれ用途が大きく異なるということがお分かりいただけたかと思います。

更にこの章では、自社開発のAI搭載型チャットボットに絞って、どのような機能があるのかについて順番にご説明していきたいと思います!

なぜ、このセグメントに特化してご説明するかというと、AIを搭載しているチャットボットは非搭載型チャットボットの完全な上位互換であるという点と、OEM提供のツールは元となるAIエンジンに性能が大きく制約されるため自社開発のAIエンジンに絞れば十分だからです。

AI関連の4機能

まずはチャットボットの性能に大きく関わるAIエンジンに関連する機能の評価基準についてお伝えしていきたいと思います。

1. 自然文に対する応答ができる

これは、自然文に対して正しく応答することができるかどうかで判断していきます。

2. 表現のゆらぎの吸収ができる

「表現のゆらぎ」とは同じ意味の似た表現のこと(EX.パワポ≒パワーポイント≒PowerPoint)です。
人によって異なる表現でもきちんと同じ質問だと認識できるかどうかは、AIエンジンの性能が一番表れると言えます。

3. 対応可能なFAQの種類が多い

対応できるFAQの数が多いかどうかも判断軸になります。基本的に数が多いほどAIが当てる難易度は高くなるため、問い合わせ業務の効率化においては非常に重要なポイントといえます。
※この項目は正確には機能ではありませんが、多数のFAQに対応できることはAIの性能にも直結するため加えています。

4. 質問文のサジェスト検索機能がある

サジェスト検索機能とは、質問文の入力中に1文字毎にリアルタイムでサジェストが出てきて、全てを入力しなくても求めるFAQが見つかる機能のことを指します。
この機能はAIのロジックを工夫しないと実現できませんが、ユーザービリティを大きく左右するため、重要です。

AI以外のシステム11機能

更に、チャットボットのサービスにおいてAIエンジン以外の部分のシステムについても判断基準をご紹介していきます。
もちろんAIエンジンの性能がコアではありますが、使いやすいチャットボットツールを選ぶためには、AIではないシステムの細部でも機能が充実しているかどうかは使い勝手に直結するので重要なポイントといえるでしょう。

1. チャットボットの応答スピード

これは文字通り、チャットボットがユーザーからの質問への応答スピードが早いかどうかで判断します。

2. ブラウザ、デバイスごとUIが最適化されている

WindowsのChrome,IE、MacのSafari,Chrome、iPhoneのSE以降のSafari/Androidなど主要なブラウザで表示崩れが起きないかどうか。
またモダンで直感的なUIであるか。

PCとスマートフォンでの表示例

3. チャットボット起動時のシナリオを設定できる

いわゆる「シナリオ型」のチャットボットの機能です。起動時に、メニューからカテゴリの階層を下って、質問をツリー状に絞りこむ機能です。

4. 回答に紐づくシナリオを設定できる

回答が単純な一問一答で解答できない場合、質問に紐付く回答が顧客の条件によって分岐する場合、シナリオ分岐で回答を絞っていける機能です。
この機能の有無により、複雑な質問への対応が可能かどうか決まります。

5. 途中で質問を変更できる

質問途中で別の質問をしても、後者の質問に変更することができる機能。
ユーザーは前の質問が終わっていなくても次の質問をしてくるので、それに対応できるような配慮は使い勝手を左右します。

6. 質問途中で会話をリセットできる

質問途中でリセットできるボタンがついているかどうか。
初歩的ですが、意外とリセットボタンがついていないチャットボットは多いです。

7. 質問に対して、即時回答できる

質問に対して、自信度が高いFAQの候補を提示するのではなく、一番自信度が高いFAQの回答をそのまま返す機能です。
当たっていれば便利ですが、外れていると解決率が大きく下がるので諸刃の剣でもあります。

参考 : PeachAviation

8. チャットボットから有人オペレーターへ切り替えができる

解決しなかった場合に、有人チャットに切り替える機能があるかどうか。
自動対応のみに対応していて有人対応は別のシステムを利用するというチャットボットは少なくありません。
将来的に有人対応も想定している場合は、この機能が搭載されているサービスの方がトータルのコストを大幅に下げることができます。

9. 電話用問い合わせIDの発行ができる

チャットボットで対応できなかった際に、電話問い合わせ用に要件伝達をスムーズにする問い合わせIDを発行する機能です。
電話へのエスカレを想定している場合は、この機能が搭載されていないと、ユーザーにとって二度手間になってしまいます。

10. 関連FAQのサジェストが表示される

回答が解決しなかった場合に、最後の一粘りとして関連した質問を提示する機能です。
最初から候補を出せばよいのですが、意外とこのタイミングで解決することもあるので、あると便利です。

参考 : BUFFALO

11. アンケート機能が搭載されている

回答終了後にアンケートを表示させる機能です。
チャットボットへの満足度を測定できるだけでなく、

  • 自社サービスの満足度に関する調査
  • ユーザーのニーズ調査

など、様々な用途に活用することができます。

以上がチャットボットを判断する15の基準になります。次の章では、それぞれの機能の有無や優劣によって点数付けを行い、どのチャットボットが優れているかについてご紹介したいと思います。

30社の自社開発AIチャットボットの機能を100点満点で採点

実際に、AIチャットボットベンダー各社を上記の各機能の優劣と有無によって100点満点で採点していきたいと思います!

採点方法と採点基準

それぞれ先述した項目ごとに点数付けを行います。
10点満点で採点する項目については、性能によって点数を付与しています。
5点満点で採点する項目についてはその機能を有している場合には5点を付与し、無ければ0点として計算していきます。

要件種別満点
自然文に対する応答AI10
表現のゆらぎの吸収AI10
対応可能なFAQの種類AI10
質問文のサジェスト検索AI5
スピードシステム10
各種デバイスでのUIシステム10
スタート時のシナリオシステム5
回答に紐付くシナリオシステム 5
途中の回答変更システム 5
リセットシステム 5
即時回答システム 5
オペレータへの移行システム 5
問い合わせIDの発行システム 5
関連FAQのサジェストシステム 5
アンケート機能システム5
今回の採点は、対象となるサイトでの機能の検証結果を元にしていて、サポート体制や価格は一切考慮しておりません。2020年5月末時点での検証結果なので、現在は学習が進んでいる可能性があります。
また、検証したサイトでは実装していませんが、要望に応じて実装できる場合もあります。詳細につきましては各ベンダーにご確認ください。

次章からは実際に弊社で採点を行ったベンダーを2社ご紹介していきたいと思います!

①ENOKI(iFocus network社)

参考:ENOKIデモ

コメント
全体的に高速で精度も高いです。
クレジットカードの問い合わせという性質上、FAQの種類は多くないので、FAQ数が増えた際の検索精度は確認できませんでした。
搭載機能はクライアントの要望次第でカスタマイズできると思うので、現在ない機能も特に問題ないでしょう。

   

②PrimeAgent(SCSK社)

検証サイト: PeachAviation

コメント
基本的なAIの性能は有しているが、FAQ数が多いせいか正答率は今ひとつです。
チケットの取り消し、キャンセル、払い戻し辺りの類義表現を認識できなかった部分は残念。
また、曖昧な質問でもシナリオ分岐をせずにFAQページに遷移させていまっていたのもマイナスポイント。

実はチャットボットが適さないケースも多い

これまでチャットボットについて説明してきましたが、実は利用用途によってはチャットボットが適さないケースも存在します。

それは、想定されるFAQ数によって適切なシステムが異なるからです。最後に、FAQ数ごとに最適なシステムの基準を紹介します。

登録するFAQが50件程度の場合

単品を扱うECサイトやシンプルなサービスの問い合わせ対応で用いる場合などが該当します。
ユーザーから寄せられる質問のパターンが多くないため、AIなしのチャットボットで十分対応出来ます。

登録するFAQが50~300件程度の場合

サービスに対して顧客からの問い合わせが幅広い場合や、企業内の一部署に対する社員からの問い合わせに対応する場合などが該当します。
ある程度内容が幅広く、人によって聞き方も異なるので、AI搭載のチャットボットが最も効果を発揮します。

登録するFAQが300件以上の場合

  • サービスに関する問い合わせの種類が多い
  • メーカーで様々な商品についての質問が来る
  • 社内の複数部署の問い合わせを扱う
  • コールセンターのオペレーター向けに使いたい

などの場合は、AIチャットボットよりもAI搭載のFAQシステムをおすすめします。というのも、チャットボットは会話型のデザインをしていますが、これは問題解決の最適な手段ではないからです。

会話型にすることでFAQサイトに比べて画面に表示できる情報量が少なくなるため、多くの質問の中から回答を見つける場合は、FAQシステムの方が解決率は高まります。

  • 類似度が高くない少ないFAQの中から簡潔に回答したいのか
  • 多くのFAQからピンポイントに見つけてしっかり回答したいのか

以上2点がチャットボットとFAQサイトの使用の境界線になります。

どちらが良いか判断がつかない場合は、弊社で無料相談を受け付けていますので、ぜひ、お問合せください。また、こちらの記事でFAQシステムについて詳しく説明していますので、合わせてご確認ください。

2022年度から2023年度で見られた変化

最後に、チャットボット市場を継続的に調査している弊社が作成した以前のカオスマップとの比較を見ていくことで、市場の変化について考察させていただきます。

2022年度版チャットボットカオスマップ
2023年度版チャットボットカオスマップ

2022年版において黄色い枠で囲われているサービスは、2023年版の時点ではホームページから記載がなくなっているサービス、緑色の枠で囲われているサービスはリブランディングが行われているサービスを示しています。

以前はチャットボットの参入企業が増えていましたが、昨年から今年にかけて、 サービスの総数は85社から67社に減少しています。AIブームが落ち着くとともに、独自のサービスや強みを持っているベンダーが残り、リブランディングや統合が進行していると考えられます。

弊社提供の sAI Chat なら導入から運用サポートまで一気通貫で提供いたします。「担当者の手間がかからない」チャットボットサービスについては sAI Chatお問い合わせページよりぜひご連絡ください。

AIチャットボットの比較まとめ

今回は チャットボットの具体的な機能と各サービスの性能について、詳細に解説しました。
弊社サイシードでは sAI Chat というAIチャットボットを提供しております。クライアント企業の声と他社サービスの良いところを継続的に参考にし、どこよりも使い勝手と性能の高い製品に仕上げておりますので、ぜひ検討候補に入れてください。

担当者の手間がかからない、最初から賢いずっと賢いAIチャットボット『sAI Chat』概要資料のダウンロード


以下で簡単なデモ動画を視聴できるので、ご覧になってみてくださいね。

代表 松尾
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
弊社サイシードでは上記でご紹介したベンダーを含めて30社のベンダーが提供するAIチャットボットについて定量的な評価を行っています。
その結果をまとめた資料については下記のフォームからDLできますので、チャットボットツールの導入の比較の際に是非ご利用いただければと思います!
2022年度版『チャットボットベンダー』徹底比較ガイドDLページ

こちらの比較集では、数多あるチャットボットベンダーを自社開発AI/OEM型AI/人工無脳に分類し、それぞれのメリットとデメリットを解説しています。 さらに、自社開発AIについては各社の導入事例を元に定量的な性能評価を行っているので、チャットボット導入を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

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この記事をかいた人

東京大学工学部および同大学院工学系研究科修了。マッキンゼー&カンパニーでM&Aや製造業での成長戦略のコンサルティングを経験。2015年に株式会社サイシードを創業。

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