チャットボットの最新導入事例を成功事例と失敗事例に分けて紹介!

最終更新日:2020年5月21日
このブログはAIを活用したチャットボット『sAI Chat』を提供する、株式会社サイシードが作成しています。
最新の事例や企業での活用方法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください!

この記事の目次
チャットボットの導入で得られるメリット
まずはチャットボットを導入することで、どのようなメリットを得ることが出来るか簡単に説明いたします。
・問い合わせに対し、24時間365日自動回答が可能となり、顧客対応時間が拡大する
・同様の問い合わせに対してはチャットボットが自動回答することによって、人件費削減ができる
・接客を統一することができ、サービス向上を図ることができる
このようなメリットを考慮し、チャットボットはカスタマーサポートや問い合わせ窓口を中心に、様々な企業に取り入れられています。
「そもそもチャットボットって何?」「どんな仕組みなの?」という方は是非こちらからご覧になってみてくださいね!
業界別導入事例
今回は、チャットボットがどのように使われているか、業界別に導入事例をご紹介したいと思います。
通販業界
ユニクロ

ユニクロのアプリ内に設置されている「ユニクロIQ」は買い物を手助けしてくれる自分専用のアシスタントとして利用できるサービスです。
季節ごとのオススメのコーディネートや人気アイテムの検索、店舗ごとの在庫確認までの一連の流れをアプリ1つで簡潔に行うことができます。
特徴的な機能はシーンに合わせた着こなし提案機能で、「旅行」や「バーベキュー」などの着用シーンを文字入力すると、シーンに合わせた着こなしを紹介してくれます。
さらに店舗内では商品のバーコードを読み込むことでその商品を使ったコーディネートの閲覧やその他の色・サイズの在庫検索も行えます。
店内が込み合っていても在庫確認を自分で行えるのはスタッフ・カスタマー双方の負担を軽減でき、ユーザーの購入機会損失を防ぐための良いサービスといえますね。
金融・保険業界
1.北陸銀行


金融業界は回答の正確性を重視する特性上チャットボットの普及がなかなか進んでいません。
しかし北陸銀行では、北陸三県の地方銀行で初めてHP上に人工知能を活用したチャットボットを導入しました。
質問がカテゴリ分けされクリックで辿り着ける他、質問文を手入力した場合にも対応できます。
また、オートコンプリート機能がついているため、入力している途中からリアルタイムで回答候補が提示されます。
窓口の業務負担を軽減しながら、ユーザーの痒いところに手が届くサービスと言えますね!
2.ライフネット生命保険株式会社

ライフネット生命は、LINEやFacebook Messengerで、保険診断、保険見積もりができるサービスを提供しています。
生年月日・性別・希望などをガイダンスに応じて入力すると、自分にあった保険を自動で案内してもらえる他、必要に応じて有人対応に切り替わり、保険プランナーとチャットで保険相談を行うことも可能です。
フォームの入力をチャットボットに変えることで敷居を下げた良い活用方法ですね。
3.SBI損害保険株式会社

自動車保険を主に取り扱っているSBI損保では、自動車保険のトップページにチャット対応窓口を設けています。
平日の9時30分~17時30分まではオペレーターによる有人対応、平日の17時30分以降や休祝日はチャットボットでの自動対応を組み合わせたハイブリットなチャットの活用を行なっています。
夜間や休祝日にチャットボットを導入することで、オペレーターの負荷を減らした上で、ユーザーに24時間365日のサポート提供を可能にしています。
自治体
1.横浜市

自治体のチャットボットでは、横浜市以外にも、市民からの問い合わせ対応や観光地案内を充実させるために、様々な目的でチャットボットを活用する自治体が増えてきています。
横浜市はごみに対する取り組みのPRを行うため、ごみ分別を案内するチャットボットを運営しています。
「自転車」「自転車の捨て方」という同じ質問であっても、色々な言い回しに対応しています。
総務省のデータによれば、コールセンターに比べ数百分の1のランニングコストで、コールセンター営業時間外の問い合わせもカバーしています。
まさに、地域住民の「ゴミをどう分別すればいいかわからない!」というニーズを把握した優れたサービスとなっており、様々なニュースに取り上げられたのも記憶に新しいですよね。
2.富田林市

大阪府の富田林市ではWebサイトのリニューアルに伴い、公式ウェブサイトにチャットボットを設置しました。
こちらも手入力で質問できる他、住民票、税金、ゴミの分別、水道など住民からのよくある質問をカテゴリ分けしています。
オートコンプリート機能が搭載しているため、取り扱うジャンルの広い自治体の問い合わせでも、キーワードを入れるだけでしたい質問にたどり着くことができます。
自治体では、平日に役所に電話できない住民からのニーズが高いため、問い合わせ窓口とは別に24時間対応が可能な「完全自動応答タイプ」のチャットボットの導入が多いようです。
このような流れは札幌市や他の小規模自治体でも広がっています。チャットボットを導入する自治体はこれからどんどん増えそうですね!
飲食業界
1.ダイナースクラブジャパン
クレジットカードのダイナースクラブでは、なかなか予約の取れないお店のキャンセル情報を流す「ごひいき予約」というサービスを行っています。
このサービスでは、予約を取りたくても取れないユーザー側と、キャンセル枠を確保したい店舗側、どちらのニーズも満たしてくれる便利なサービスとなっています。
キャンセルが出るとLINEのトーク画面上で店舗情報が配信され、画面にしたがって必要事項の入力とタップだけで予約を完了することができます。
しかし、配信される店舗は値段設定が一般的な飲食店よりも高いものが多く、一般ユーザーには敷居の高い店舗が多いです。
普段使いできるお店ではないのにもかかわらず、毎日3~4件の通知が来てしまうのは煩わしい場合もあります。

その問題を解決するために、自分が通知を受け取るりたいエリアや曜日をフィルタリングできる機能が加わりました。
現在では「ごひいき予約.com」という名称に変更され、ダイナースアプリからのみ利用可能になっています。
LINEから自社アプリに移行できた成功事例ともいえますね!
2.ドミノピザ

ドミノピザではLINEトーク画面上から簡単にピザが注文できる「ドミノ簡単注文」というサービスを2015年9月にデリバリ-ピザ業界として初めて導入しました。
注文方法はまずURLからピザを選択。その後、配達場所を位置情報で送信、宅配時間や決済方法など注文の詳細をトークで決定していくという流れです。
決済方法にはLINE PAYでの支払いも選択でき、全てLINE上で完結できる仕組みになっています。
実際にLINE経由の注文での売上は半年で2億円を越えました。
現在このサービスは終了し、LINEデリマから注文が出来るようになっています。
運送業界
ヤマト運輸

大手運送会社であるヤマト運輸は、2016年1月よりLINEを利用した通知メッセージのサービスを開始しました。ユーザーはメニュー画面から「再配達依頼」と「集荷依頼」の2つのメイン項目から目的に合わせて選択していくだけです。
2020年1月現在では3200万人もの人が友だち登録を行っています。
LINEによるチャットサービスはメールよりも開封率が高く、ユーザーの利便性もアップします。そのため、荷物の受け取りがスムーズになったことで、再配達の件数を削減し、ドライバー負担の軽減に貢献しました。
交通業界
JR西日本

JR西日本ではHP上に遺失物検索のために『お忘れ物チャットサービス』を導入しています。
これまで電車や駅で忘れ物をした場合は落し物センターへの電話または駅にある忘れ物センターに連絡しなければならなかったため問い合わせできる時間が限られていましたが、チャット導入によって24時間パソコン・スマホから問い合わせができるようになりました。
チャット上で落し物をした時間・場所・品名を入力していくとオペレーターに切り替わり、遺失物を捜索してくれます。
電話での連絡だと焦ってしまいがちですが、電車に乗った時間や落し物をした場所等をゆっくり思い出しながら入力できるのでチャットボットに適しているといえますね。
不動産業界
CHINTAI

賃貸物件の検索サイト、CHINTAIのLINE公式アカウントではトーク上でキャラクターに話しかけると条件にあった物件を紹介してくれるサービスを提供しています。
「最寄り駅」「家賃」「間取り」等を指定すると条件にあった物件最大3件をLINE上に表示してくれます。
また位置情報からの検索機能もあるのでピンポイントでの物件探しも行えます。 指定した条件に合う物件情報を1日1回お知らせしてくれる 新着お知らせ通知機能もあるので毎回同じ条件で探す手間が省けます。
LINEトーク画面上の検索機能と組み合わせて使えば、一度検索した履歴もすぐに呼び出すことが出来ますね。
チャットボットの失敗事例
ここまで、チャットボットの成功事例を紹介してきましたが、中にはサービス終了となってしまった事例や、こうすればもっと良くなるのに…という「惜しい」事例も多数存在します。
この章では、失敗に終わったチャットボットや「惜しい」チャットボットとその原因について見ていきましょう。
失敗事例
1.株式会社ナビタイムジャパン

経路探索ができる「NAVITIME」では、LINE上で鉄道の乗り換え検索ができるサービスを提供していました。
しかし、
・乗り換え検索のためにNAVITIMEとのトーク画面を見つけるのが面倒
・LINEを開きながら地図アプリを開きたくないというニーズが低かった
という点から、使い勝手があまりよくなく、現在サービスは終了しています。
2. InSync株式会社

こちらはInSync株式会社が開発した LINEのチャット機能を使って最安値のホテルや旅館をより簡単に検索・予約できるLINE bot 、「ロボチャくん」です。
「エリア入力・チェックイン・チェックアウト日・人数」などの細かな条件入力によるホテル・旅館の検索、「位置情報の送信」によるホテル・旅館の検索等の機能が備わっています。
友人とLINE上で旅行の計画を立てている時にすぐに検索できるというメリットはありますが、検索結果はLINE上ではなく別アプリで表示されるため、初めからより条件を絞れるアプリを使って検索し始めたほうが理想のホテルを見つけやすいという問題点があります。
さらに最近はアプリを2画面で表示できる機能もスマホに備わっているものも多いためニーズに合わなくなりました。
2020年1月現在、運用は停止されています。
チャットボットを上手に使い分ける方法
チャットボットには大きく分けて『問い合わせ獲得・CVRアップ』と『問い合わせ削減』の二つの利用目的があります。この記事で紹介した事例のなかでは、ユニクロ、ライフネット、ダイナース、ドミノ、CHINTAIが『問い合わせ獲得』を目的として利用しています。それ以外の事例は『問い合わせ削減』目的でチャットボットを利用しています。
それぞれの目的ごとに、チャットボットで失敗しない上手な使い方を紹介します。
『問い合わせ獲得・CVRアップ』でチャットボットが向いているケース
問い合わせ獲得・CVRアップ目的でチャットボットを利用する場合、重要なのは「ユーザーの負担を減らしてくれる」かどうかです。
例えば、
・HPよりも限られた情報でユーザーを迷わせない
・検索や資料請求で必要なアクション数が削減される
・検討期間が長いサービスの場合は、定期的にメッセージで通知が来る
などユーザーにとって明確なメリットが必要になります。何も考えずに会話型のUIにすれば良いわけではないんですね。
続いて、問い合わせ削減を目的としたチャットボットの上手な使い方を説明します。「問い合わせ削減」を目的とする場合は、想定されるFAQ数によって適切なシステムが異なります。
登録するFAQが50件程度の場合
単品を扱うECサイトやシンプルなサービスの問い合わせ対応で用いる場合などが該当します。
ユーザーから寄せられる質問のパターンが多くないため、AIなしのチャットボットで十分対応出来ます。
登録するFAQが50~300件程度の場合
サービスに対して顧客からの問い合わせが幅広い場合や、企業内の一部署に対する社員からの問い合わせに対応する場合などが該当します。
ある程度内容が幅広く、人によって聞き方も異なるので、AI搭載のチャットボットが最も効果を発揮します。
登録するFAQが300件以上の場合
・サービスに関する問い合わせの種類が多い
・メーカーで様々な商品についての質問が来る
・社内の複数部署の問い合わせを扱う
・コールセンターのオペレーター向けに使いたい
などの場合は、AIチャットボットよりもAI搭載のFAQシステムをおすすめします。というのも、チャットボットは会話型のデザインをしていますが、これは問題解決の最適な手段ではないからです。会話型にすることでFAQサイトに比べて画面に表示できる情報量が少なくなるため、多くの質問の中から回答を見つける場合は、FAQシステムの方が解決率は高まります。
・類似度が高くない少ないFAQの中から簡潔に回答したいのか
・多くのFAQからピンポイントに見つけてしっかり回答したいのか
がチャットボットとFAQサイトの使用の境界線になります。どちらが良いか判断がつかない場合は、弊社で無料の「Web相談会」も実施しているので、ぜひご利用ください。また、こちらの記事でFAQシステムについて詳しく説明していますので、合わせてご確認ください。
まとめ
チャットボットは様々な業界で導入されはじめています。しかし、失敗事例も出てきているように万能ツールではないので、目的と課題を考えて適切なシステムを選択してくださいね。
目的が『問い合わせ獲得・CVRアップ』の場合は「チャットボットがユーザーの負担を減らしてくれる」かどうかをよく検討しましょう。
『問い合わせ削減』の場合はFAQ数によって、場合によってはチャットボットではなくFAQシステムも検討してみてください。
どのようなシステムが最適か判断がつかない場合は、弊社で無料の「Web相談会」も実施しているので、ぜひお気軽にご相談くださいね。


こちらの比較集では、数多あるチャットボットベンダーを自社開発AI/OEM型AI/人工無脳に分類し、それぞれのメリットとデメリットを解説しています。
さらに、自社開発AIについては各社の導入事例を元に定量的な性能評価を行っているので、チャットボット導入を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。