失敗しない社内FAQの作り方!テンプレートからツール紹介まで丸ごと解説します

最終更新日:2022年4月19日
「FAQページを作ったのに、結局誰も使ってくれません」
これまで多くのお客様から上記のような相談を受けてきました。各社それぞれ特有の課題を抱えていらっしゃいますが、中でも多く寄せられる課題は次に挙げる3つのものです。
- (整備)FAQの登録ルールが定まっておらず、雑多なナレッジが散在している
- (整備)FAQを検索するとヒットしすぎて見つけられない、ヒットしても求めている情報を見つけにくい
- (機能)FAQの検索体制が整っていないか貧弱で、知りたい情報を見つけられない
いずれの課題の場合でも、利用者がFAQページに対して何かしら不便を感じる状況に陥っており、その結果FAQページが使われなくなってしまうということが起こります。
そこで今回は社内FAQページの構築方法について、大きく3ステップに分けて組織構築から運用フェーズまで解説します。

この記事は、AIを搭載したFAQ検索システムを開発・提供している株式会社サイシードが執筆しています。

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この記事の目次
社内FAQの作り方は大きく3ステップ
サイシードでは社内FAQを構築するにあたって、大きく3つのステップを踏むべきだと考えています。
- FAQのスコープ決め、社内組織組み立て
- 社内FAQの構築
- 社内FAQの改善・運用
冒頭で説明した「多くのFAQ担当者がその構築を軽視している」というのは、ここでいう①と③のステップをなおざりにしている状況を指します。FAQの構築ばかりに目をやって、組織構築や運用改善を怠っていることが原因で失敗するのです。
まずは上記3項目について1つずつ順を追って理解していき、今後どのような形で社内FAQを組み立てて行くべきかよく検討しましょう。
FAQの作り方STEP1, FAQのスコープ決めと社内組織組み立て

まずは社内のFAQをどのような目的で作成し、誰が・どのように運用し、どう改善していくかを定義する必要があります。本ステップにおける主な検討項目は次の4つです。
- FAQの導入目的
- FAQの最適な配信手段
- FAQの運用体制
- FAQの改善サイクル
1-1, FAQの導入目的を明確にする
ここでは、誰に対して 、どの領域をFAQによって解決させるのか定義します。
FAQの対象ユーザーを明確にする
まずはFAQの対象ユーザーを明確にします。
想定されるユーザーの知識レベルに合わせる工夫をしなければ、ユーザーに対して適切でない形で回答を配信してしまう懸念があるからです。
FAQシステムの種類 | FAQの対象ユーザー | |
例1 | 社内向けFAQシステム | 一般社員 |
例2 | コールセンター向けFAQシステム | オペレーター |
例3 | 社外向けFAQシステム | 個人 or 法人 |
極端な話、小学生に向けて大学レベルの数学知識を解説したところで誰も理解できません。実際はもう少し些細なズレですが、対象ユーザーを定義しないことが原因で「理解し難い」「使いにくい」FAQページが誕生してしまうことが起こります。
FAQの対象領域を明確にして、それを正しく周知させる
次に、FAQの対象領域を明確にしましょう。
社内FAQを構築する担当者がその領域を定義することも大切ですが、リリース後にどの領域に関するFAQが掲載されているのか社内に周知させることも必要になります。
たとえば社内に「野菜に関するFAQページ」があったとします。そこへ利用者が『名前がわからない、赤くて甘い・丸い果物の名前が知りたい』という質問を投げます。

このとき野菜に関するFAQページには、利用者が真に求めるリンゴに関する情報が登録されていないため、かろうじて関連度の高い「トマトの情報」を返答してしまいます。このような状況があったとき、利用者は2度とFAQページを利用しなくなってしまいます。

FAQページが利用されなくなる原因は明確で、利用者がFAQページの対象領域を理解しておらず、野菜に関するFAQページに対して、誤って果物に関する質問を投げてしまっていることです。
上記例をさらに具体的な話に落とし込んで説明すると、次のような流れが想定できます。
- 人事系のFAQシステムに、情報システムに関する質問が寄せられる
- 期待した回答が得られず、結局ヘルプデスクの電話が鳴る
- 「FAQシステムは使いものにならない」と判断され、今後閲覧されなくなる
1-2, FAQの最適な配信手段を検討し、選択する
次に、FAQの最適な配信手段を検討します。主なFAQの配信手段は次の4つです。
- チャットボットを利用する
- 社内FAQシステムを利用する
- 社内Wikiツールを導入する
- WebページやExcelにFAQを箇条書きで羅列する
何かシステムを導入検討しているなら、チャットボットでFAQを配信するか、FAQシステムを利用するかが論点になります。両システムのメリットや違いについては以下の記事で解説していますので、併せてご参照ください。
一方で特にシステム導入しない場合、WebページやExcelにFAQをまとめる形式が選択肢になります。これはFAQ数が10個~30個程度であれば問題ありませんが、それ以上まで増えた段階で限界が来ます。
取り扱うFAQ数が多くなるほど、目当ての情報を見つける手間は多くなります。業務効率化目的でFAQを作成する場合や、顧客向けにFAQを提供する場合などは、予算を割いてでもシステム導入するべきです。
1-3, FAQの運用体制を決める

次に、構築した社内FAQの運用体制を決めます。
社内FAQの成果を最大限出すためには、FAQの継続的な運用・改善、周知施策が必要です。一度投稿したFAQも社員の疑問解決率が低ければメンテナンスする必要がありますし、社員がFAQを使ってくれるように広報活動を行う必要もあるからです。
事例: 社内FAQ運用のよくある誤解
・担当者が一人で全て管理できる
・一度FAQを作成すれば、後のメンテナンスは必要ない
・FAQを設置しさえすれば、全社員が正しく利用してくれる
→これらはすべて誤解であり、認識を正すべきです。
したがって社内のどの人材をFAQ担当者として配置し、どのような運用フローで改善するか決めておく必要があります。だからこそ、サイシードでは次に列挙する4つの役職を社内に設置することを推奨しています。
- ナレッジオフィサー:社内FAQ運用チームの全体統括
- ナレッジエンジニア:FAQの定義/追加、ナレッジの改善
- インフルエンサー:FAQの社内周知を行う広報担当者
- キーマン:トップダウンでFAQの利用を推奨し、現場に落とし込む権威者
どのような運用フローで社内FAQを管理すべきかは企業の規模にも寄りますが、FAQの運用は膨大な作業が伴います。すべての業務を1人でこなすことなど到底不可能ですので、役職に応じた分業体制を組み込みましょう。
そのうえで、社内FAQを常に改善し続けられるよう、週次で確認できるKPIを設定します。社内FAQを統括するナレッジオフィサーはKPIの達成率をベースに運用チームへ適切な指示を出し続けます。

FAQの作り方STEP2, FAQの構築ステップ

社内FAQを導入する前準備が整ったら、実際にFAQを構築していくフェーズに入ります。ここでもFAQのスコープを明確に定義しておくことが重要です。
FAQの構築時には、次に挙げる3ステップを踏みましょう。
- 質問文(Q)を洗い出す
- 回答文(A)を作る
- FAQをブラッシュアップする
2-1, 質問文(Q)を洗い出す
まずはFAQのベースとなる質問文(Q)を構築していきます。
このとき、想定できるすべての質問をしらみつぶしに起こしていくのではなく、ニーズの高いFAQから順に、段階を踏みつつ徐々に作成していきましょう。

FAQのニーズを推し量るためには、ヘルプデスクへの問い合わせ件数など定量的なアプローチだったり、ベテラン社員へのヒアリングなど定性的なアプローチで試算したりすることが有効です。
運用当初から広い範囲で膨大な量のFAQを取り扱おうとすると、運用に失敗する確率が高くなります。まずはシンプルな回答の(条件分岐のない)FAQを50件から100件程度運用するなど、情報管理できる範囲からスタートしてみましょう。
質問文(Q)のNG例とOK例
このときに作成する質問文の事例として、実際に登録されていたNG例と、それを改善したOK例をご紹介します。
<NG例>
自宅から最寄り駅まで、自動車を利用し駅から勤務地(営業所)の最寄り駅まで電車を利用する場合は、通勤費WEBをどのように申請すれば位いいでしょうか。
上記NG例では質問文が複数に条件分けされており、一目見ただけで理解できる文章となっていません。FAQページの検索結果にNG例の質問文がヒットしていたとしても、利用者は質問文の内容を理解できないため、回答を見ようと思わない(=回答を見つけられない)状況に陥ります。
<OK例>
自動車と電車を利用して通勤する場合、通勤費WEBの申請方法を教えてほしい。
そこで上記OK例のように、質問文をシンプルでわかりやすい形式に書きなおします。
2-2, Aを作る
FAQのベースとなるQを作成したら、それに対応するAを紐づけていきます。
このとき弊社では、次に紹介するフレームワークを活用してQを適切に分類していきます。その類型に従って最適なAを作成していく流れとなります。

- 解説型の疑問
→ 知識欲を満たす回答を作成 - 方法提示型の疑問
→ ネクストアクションを明確に示す回答を作成 - トラブル・事象対応型
→ 不安を解消し、ネクストアクションを明確に示す回答を作成
2-3, FAQをブラッシュアップする
以上の流れでQ&Aを作成していく中で、次のような注意点にも配慮します。
シンプルかつ明確な回答を社内FAQに紐づけていきましょう。
- 質問文は40~60文字程度に留める
- 回答はワンストローク以内で閲覧できる長さ
- チャットボットなら6行程度に収める
- FAQページなら最初にロードした画面の領域程度に
FAQの作り方STEP3, FAQの改善・運用フェーズ

社内FAQを公開し、社員の利用データが貯まってきた時点で、FAQの改善・運用フェーズに入ります。ここではより解決率が高いFAQを作成することや、社内FAQへのアクセス数などをKPIに置き、定量的な分析を行います。

以上の画像で赤枠になっている部分のように、解決実が著しく低いFAQが存在する場合は、その原因を特定して改善していきます。
今回の場合であれば、 FAQページに登録した質問文が抽象的すぎるため、利用者の疑問に対してピンポイントな回答文を用意できていないことが原因だと推測できます。したがって、より具体的な質問文複数に分割することで改善をはかります。
<解決率29.5%の質問を改善する>
改善前:私のスマホは使えますか?
改善後①:Androidスマホにも対応していますか?
改善後②:iPhoneにも対応していますか?
事例:FAQシステムから獲得したデータの分析

事例:FAQシステムから獲得したデータの分析

社内FAQシステムの作り方まとめ
この記事では社内FAQシステムの作り方について、その全体像をざっくり解説していきました。サイシードでは、社内FAQを次の3ステップで構築していきます。
- FAQのスコープ決め、社内組織組み立て
- 社内FAQの構築
- 社内FAQの改善・運用
どの工程も軽視してしまえば、FAQシステムの運用ができなくなるほど重要な要素です。導入目的を固めるところから、運用改善フェーズまで計画的に推し進めるようにしましょう。
サイシードではAIを搭載した “初めから賢いFAQシステム” である sAI Searchを開発・提供しています。社内向けFAQシステムだけでなく、社外向けFAQシステム、オペレーター向けFAQシステムなどの開発も行っています。
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この記事ではFAQの作り方を3ステップに分けて詳細に説明していきましたが、このすべてを自社内で完璧に設計する難易度は非常に高いです。サイシードではFAQシステムの導入前相談も承っておりますので、検討中の事業者様はお気軽にお問い合わせください!
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